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アサヒが撤退「ストロング系」はなぜ広がったのか 「健全で持続可能な飲酒文化」は負け惜しみの感も

東洋経済オンライン / 2024年1月29日 18時0分

そのため、今回のアサヒの表明は2020年にオリオンビールが「ストロング系の製造をやめた」ような気概はなく、むしろ「撤退」と見るのが正しいだろう。

昨年4月には「売上1.5倍」目指すと宣言していた

実際、2023年4月11日に配信された「日経クロストレンド」の「アサヒビール、RTD4商品を一挙投入 2025年までに売上1.5倍へ」という記事では、「残念ながら当社は現在、RTD事業において確固たる地位を築けていない。また、市場を席巻するような強い価値を持つブランドも持ち合わせていない」と、同社の松山一雄氏はコメントしている。

ただ、記事のタイトル通り、同社は昨年からアルコール度数7%の「アサヒ GINON」、3〜7%の「アサヒ グレフルマニア」と「アサヒ 横丁ダルマサワー」を展開している(「7%と8%未満の違いは……?」という疑問は残る)。

むしろ、同社は2021年頃からストロング系よりも、アルコール度数4%で、ぶどうやりんごの果汁が10%以上も含まれている「贅沢搾り」シリーズを「主力ブランド」に位置づけているため、今後はこうした8%未満のRTDに力を入れていくことは間違いない。

とはいえ、今回のアサヒの終売の報道を受けた世間の反応を見る限り、改めてストロング系が「危ない飲み物」として認識されていることがわかった。それにもかかわらず、いまだに人気を誇り、気軽に購入できてしまうのはなぜだろうか?

【2024年1月29日17時30分追記】一部、表現を修正しました。

そこで本稿では、いちユーザーとしてストロング系を嗜み、専門家たちに取材を重ねてきた筆者が、どのようにしてストロング系が広まっていったのかを振り返っていきたい。

調査会社インテージによると、「ハイボールを含む缶酎ハイ市場はコロナ下で拡大し、23年は5333億円だった。そのうち度数8%以上の商品は25%程度を占める。17年の40%強からは大きく減少したものの、需要は根強い」という(販売金額ベース)。

現在のストロング系の代表的な商品は冒頭でも紹介したサントリーの「ストロングゼロ」、コカ・コーラの「檸檬堂」、キリンの「氷結 ストロング」だが、アサヒもこれまで「ハイリキ9」「スパークス」「もぎたて」「ウィルキンソン・ハード」など、さまざまなストロング系を世に出してきた(2020年末時点で79品目)。

「もぎたて」シリーズは他社製品よりも甘く、これはあくまで筆者の印象だが、酒というよりも、グミを液状化させた駄菓子のような味だった(編注:あくまで筆者の主観です)。それゆえ、数あるストロング系の中でも「甘口」好きのユーザーからの人気はあったものの、競合他社には太刀打ちできず、気づけばコンビニやスーパーの陳列棚から消えてしまっていた。

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