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アサヒが撤退「ストロング系」はなぜ広がったのか 「健全で持続可能な飲酒文化」は負け惜しみの感も

東洋経済オンライン / 2024年1月29日 18時0分

とはいえ、アルコール度数が1%上がるだけでも、飲む側の「すぐに酔える」という期待感は高められるのだろう。

そんな、消費者たちのニーズに応えようとしたのか、2018年にはサンガリアからアルコール度数12%の「SUPER STRONG」が登場。しかし、「多分エタノールってこんな味なんだろうな」(編注:あくまで筆者の主観です。エタノールは実際には入っていません)と思わせるようなアルコールの濃さと、販売経路がローソンとポプラの2社に限られていたことなどから、早々と市場から姿を消してしまった。

危険な要因は、度数より「ごくごく飲めること」

そんなストロング系特有の危なさとして、「アルコール度数が高いから悪酔いする」というものがある。しかし、度数の高い酒は日本酒やウイスキーなどいくらでもある。ただ、「危険」な原因は「ジュースのようにごくごくと飲める」ことである。

厚生労働省が定義する「生活習慣病のリスクの高い飲酒量」は男性で1日あたり純アルコール量40g以上、女性で20g以上だ。量の算出方法は「摂取量(ml)×度数/100×0.8(比重)」となっている。冒頭で説明したが、500ml缶のストロング系(アルコール度数9%)に含まれるアルコールの量は1本あたり約36gのため、女性はたった1本で危険水域に達することとなる。男性でもギリギリだ。

通常、アルコール度数の高い日本酒やウイスキーは「チビチビ」と嗜むものだが、ストロング系は「一気に飲んで現実逃避するために使われている」とされている。ウイスキーや日本酒をラッパ飲みしようとしても、ツンと鼻にくるアルコールの匂いで一気に飲むことは難しいが、ストロング系は液糖(ガムシロップ)や、アセスルファムK、スクラロースといった人工甘味料が、濃いアルコールの飲みにくさを軽減しているのだ。

ということは、500ml缶を2缶飲んでしまえば、テキーラを7杯半飲むのと同じ量のアルコールを体内に入れてしまうことになる。そんな量を飲めば確かに急性アルコール中毒に陥る可能性は十分あり、健康被害が心配されてしまうのも当然の話だ。

ただ、ストロング系最大の問題点は「安さ」であろう。例えばパブやバーでテキーラを7杯も飲もうと思えば、1杯500円くらいと考えれば3500円はかかる。それが、ストロング系であればテキーラ1杯分の値段である500円さえあれば事が足りるのだ。だからこそ、居酒屋に入る金もないような若者がこぞって飲んでしまうわけである。

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