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日本人の「内向き思考」を批判する人への違和感 「限られた情報」で世界を語ってしまう危うさ

東洋経済オンライン / 2024年1月31日 11時20分

多くの外国人観光客が来日する中、彼らが見て感じる日本とはどんな姿なのだろうか(撮影:今井康一)

「最近の日本人は内向きな人が多いですね」

何度聞いたかわからないこの言葉を聞くたびに、私は違和感を持ちます。そして次のような疑問も感じます。

「はたして日本人だけが内向きなのか?」

「日本以外の他国の人たちは内向きではないのか?」

「日本人の内向き思考は最近のことなのか?」

「そもそも、内向きなのは悪いことなのか?」

考えてみてください。「日本人は……」と批判する人の中で、どれだけが他国の人々のことをよく知っているのでしょうか。世界には約200カ国もあるのに、何となくイメージで言っていませんか? 留学経験者や駐在経験者など、ある特定の国に詳しい人だって、決してその国のことを知っているとは限りません。

嘘をついてはいないけど・・・

たとえば、私がインドで事業を行っていたときに現地パートナーだったインド人は「インド人の70〜80%は英語を話せる」と言っていましたが、統計上はインド人の英語話者は約10%でしかありません。でもインド人から、インドのことをまことしやかに説明されたらそうだと信じてしまいますよね。

別にその人が、嘘をついていたわけでもありません。周りではおそらく70〜80%が英語を話せるのでしょう。あくまでその人の経験上では事実なのです。

実際、私はインドで7年間事業を行っていましたが、現地の言葉は一切使わずに英語だけで仕事をしてきました。私の経験上でもインド人の70〜80%は英語を話せました。ただ、あくまでそれは私が仕事をしてきたインド人という、限られた中の人たちということなのです。

私は長くアメリカ留学の専門家として仕事をしてきましたが、アメリカもまた多様性に富んだ国ですよね。だからこそ留学経験者や駐在経験者が語る「アメリカでは」という言葉はあまり信じていません。

なぜなら、それは「テキサスでは」とか「カリフォルニアでは」「ニューヨークでは」という、その人が住んでいたところの地域性にかなり影響されるからです。その経験で、アメリカ全体がそうであるとはまったく言えません。住んでいた時代にもよります。

たとえば、もし30年前に住んでいた人が「アメリカでは」と話したら、それは「当時のアメリカ(のあなたの住んでいた街)ではそうだったんですね」ということになると思うのです。

困るのは、誰も嘘をついているわけではないということです。自分の経験に基づいて知った事実を言っているから、知らない人にしてみたら「なるほど。その国はそうなんですね」と思ってしまいかねないのです。

インド人が初めて日本に訪れて起きた変化

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