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蜜月終焉、フィリピン正・副大統領間で大抗争勃発 マルコスとドゥテルテ、大統領選から一転、対立激化

東洋経済オンライン / 2024年1月31日 8時0分

むしろ改憲阻止は現政権を批判するネタにすぎないともいえる。ドゥテルテ政権も連邦制を掲げて憲法改正を試みていたのだから。

ダバオ市長が公然と辞任要求

ドゥテルテ陣営の本音は、同じ1月28日にダバオ市で開かれたフォーラムに登壇したセバスチャン・ドゥテルテ市長の演説に凝縮されていた。前大統領の次男である。

セバスチャン氏は、シニアの遺体を英雄墓地に埋葬するというマルコス家の長年の悲願を前大統領(父)がかなえたにもかかわらず、現政権はその父を牢獄に入れたがっていると憤った。

さらに政権交代後、麻薬汚染が再び蔓延していると不満をぶちまけ、「大統領、あなたは怠惰で国民への思いやりに欠けている。国を愛せないなら辞任すべきだ」と言い放った。

マルコス、ドゥテルテ両家の蜜月は、シニアの英雄墓地埋葬がきっかけだった。シニアは1989年に亡命先のアメリカ・ハワイ州で客死し、遺体はその後、故郷の北イロコス州に運ばれた。

マルコス家はマニラ首都圏にある英雄墓地への埋葬を希望していたが、戒厳令下で拷問などの人権侵害にあった被害者らが反対し、歴代政権も認めてこなかった。ところがドゥテルテ前政権誕生した2016年、前大統領が埋葬を認めた。その後、両家は急接近した。

2022年の正副大統領選が始まる前の世論調査でサラ氏は一貫して大統領候補の首位に立っていた。にもかかわらずボンボン氏に大統領候補の座を譲る形で「ユニチーム」として副大統領選に回った。

南部ミンダナオのドゥテルテ家と、北部ルソン島イロコス地域、中部ビサヤ地区レイテ島を地盤とするマルコス家という「地域割り」が功を奏したこともあり、両者の圧勝につながった。

大統領に三行半?

サラ氏は2024年1月22日、ダバオで集会に参加し、2025年5月に予定されている中間選挙に立候補すると発言した。副大統領の任期は6年。出馬のためには任期半ばで職を辞す必要がある。

中間選挙は正副大統領を除く、上院の半数と下院の全議席、知事、市長らのポストが一斉に争われる。サラ氏が出馬するとすれば上下院か、前職のダバオ市長である。

鞍替えの理由として、サラ氏は兄の下院議員パオロ氏、弟のダバオ市長セバスチャン氏がともに再選をめざさないようだからだと説明した。しかし額面通りに受け取る向きはまずいなかった。

選挙にまつわる食言はドゥテルテ親子のお家芸だ。前大統領は選挙前、「大統領選に出るなら死んだほうがマシ」と語ったり、前回の大統領選では娘に対抗して副大統領選に出馬すると表明したりした。サラ氏も副大統領選に立候補する前にいったんダバオ市長への立候補を届け出ていた。

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