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蜜月終焉、フィリピン正・副大統領間で大抗争勃発 マルコスとドゥテルテ、大統領選から一転、対立激化

東洋経済オンライン / 2024年1月31日 8時0分

前政権は捜査に反発し、2018年にICCに脱退を通告、1年後に正式に脱退した。ところがボンボン氏は2023年11月、ICCへの再加入を「検討する」と発言したのだ。

大統領選でサラ氏が候補の座をボンボン氏に譲った裏には、ICCへの非協力が最低限の合意だったとみられ、ボンボン氏はICCの国内捜査には協力しないとの姿勢を崩してはいない。

それでもサラ氏の「中間選挙立候補発言」の翌1月23日、「国内捜査は主権侵害となる」として協力しないと話したものの、捜査員の入国自体に関しては「一般人としてフィリピンを訪れることは可能だ」との見解を示した。

デラロサ議員が記者会見し、ボンボン氏から2週間前にICCの捜査員は入国させないと伝えられたとしたうえで、「男らしく本当のことを言ってくれ。私たちを収監させたいと思っているなら直接言うべきだ」と訴えた。

麻薬戦争に対し、現政権は明らかに姿勢を変化させている。レムリア司法相は2024年1月、共同通信の取材に対し、麻薬戦争について「摘発のノルマを割り当てられた警察が証拠をでっち上げ、多くの無実の人が逮捕された」と批判し、「過ち」と断じた。

ボンボン・ロムアルデス陣営は、ICC捜査をドゥテルテ陣営牽制のカードとしているのではないかという疑心暗鬼がドゥテルテ側で強くなっている。

セバスチャン氏の「父を牢獄に入れたがっている」という発言とあわせ、ドゥテルテ陣営がICCの捜査の行方と現政権の対応に神経をとがらせていることは間違いない。

退役軍人らの不穏な動き

ボンボン氏は1月29日、ベトナムを公式訪問するため専用機に乗り込む前に報道陣に囲まれ、前大統領から前夜、麻薬中毒者と名指しされたことについて聞かれた。「前大統領は鎮痛剤フェンタニルを使用している。言動はその影響だろう。主治医がきちんとケアすることを願う」と答えた。

「ユニチーム」の亀裂が深まるなか、2023年後半からドゥテルテ親子を支持する退役軍人らの不穏な動きが表面化している。

現政権に不満を持つ軍や警察の元高官らが会合を持ったとの情報が流れたり、元軍人が「私の大統領はサラ」と発言する動画が投稿されたり。

国軍トップのロメオ・ブラウナー参謀総長は「国軍の現政権支持は揺るがない」と繰り返し、前大統領も「なぜ私が現政権の不安定化を画策しなければならないのか」と否定している。

しかしながらフィリピンには過去、軍人らが武力で政権を転覆しようと試みる事件が繰り返された歴史がある。2028年の次の大統領選へ向けて長い駆け引きが続きそうだ。

柴田 直治:ジャーナリスト、アジア政経社会フォーラム(APES)共同代表

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