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ゆで太郎、丼スタイルで「のり弁」を提供するなぜ 令和に甦った、素朴で美味しい昭和ノスタルジー

東洋経済オンライン / 2024年2月1日 12時0分

そんなゆで太郎の人気商品は、基本中の基本でもある冷そば・温そば。ミニ丼ではかつ丼が圧倒的な人気を誇ります。池田社長によると、コアターゲットは「20~60代の働くお父さん」。商品開発では経営陣も積極的にコミットし、メンバー自身が同じような属性であることから「自分が食べたいと思えるものを開発しています」と話します。

「ゆで太郎が提供しているのは日常食なので、華々しくはないかもしれない一方で、着実な商品を心掛けています。商品会議では主に味・ボリューム・価格の観点から、新商品とともに既存商品のブラッシュアップも行っています」

ほっかほっか亭には「ケンカ売っているのか」

そばチェーンとしては珍しいのり弁がラインアップに加わったきっかけは何だったのでしょうか。先述した通り、池田社長は「のり弁の祖」とも呼べるほっかほっか亭出身です。1976年に創業したほっかほっか亭が「のり弁当」として販売した商品こそ、現代のり弁のルーツとされています。

かつて池田社長がほっかほっか亭に入社したきっかけも、のり弁でした。昭和32年生まれの池田社長にとって、のり弁はお母さんが作る弁当としての原風景だったそう。その原風景を再現し、260円で展開したほっかほっか亭ののり弁は「ルーツ、原点の商品」とも語り、一目惚れのように魅力を覚えて入社したそうです。

そう聞くと、今回のテーマであるゆで太郎ののり弁は、さぞ肝いりで開発が進んだのかと思いきや、意外にもそうではないようです。

「のり弁が生まれたのは定番商品のブラッシュアップがきっかけです。薬味そばなどで使う鰹節を口当たりの良い極薄削りの本枯節に、あとは海苔を播磨灘産の一番摘みにしたり、ちくわを高品質なものへリニューアルしたり改良を加えていたんです。そこで、ふとあるとき社内で雑談していて『おかかと海苔とちくわがあれば、あとは白身魚さえあればのり弁ができるのでは』と思い付いたんです」

それまでゆで太郎のミニ丼メニューにはカツ丼やカレーなどがあった一方で「1品、毛色の違うものが欲しかった」とも池田社長は振り返ります。そこから白身魚の調達先を探し、実際にのり弁を作ってみたところ、違和感のない仕上がりに。ちなみに「丼」で提供するのに名前が「弁」なのは「『のり丼』だと海苔を敷いただけの印象がある」ことから、洒落も交えつつ決めたそうです。

偶然から生まれたゆで太郎ののり弁は、池田社長と同じくほっかほっか亭出身であるゆで太郎システムの営業部長・商品部長も納得の商品になりました。ちなみにほっかほっか亭には旧知の方も多く、ゆで太郎からのり弁を出す際には笑いながら「ケンカを売っているのか」といわれたとか。

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