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初の「出戻り総務官僚」が転職→復帰を選んだ本音 処遇に周りの反応…"リスク承知"で戻ってきた

東洋経済オンライン / 2024年2月3日 7時40分

国全体の基盤を強化するうえでこういう(出戻り)ケースを作っていかないと、という思いもありました。どういうふうに処遇されるかわからないし、周りにどう思われるかもわからない。正直チャレンジングでリスクがあることをしていますけれど、後悔は全然ありません。

――平松さんは室長として戻りましたが、入省同期は室長級より格上の課長級になっています。年次主義の印象がいまだ強い霞が関で、その点での不満はありませんでしたか。

むしろ、そのほうがいいかなと思いました。戻ってきて急に同じだと目立って嫌だから、課長では戻りたくないって私自身思いましたし、総務省としてもいきなり課長はさすがに難しかったでしょう。初めてならば、ある程度仕方がないと。

ただ、(出戻り)希望者がもっと増えれば、この状況が続くことはよいとは思いません。霞が関の仕事は、国会対応といった民間とは違う特殊性もあるので、国としては行政経験がない人を管理職で採用する不安はあるとは思いますが、出戻りの場合は経験もあるので、課長補佐で辞めた人間が管理職で戻るなどといったキャリアアップにつながるようなルートができていけばよいと思います。

――民間と役所で違うと感じた点は。民間企業での経験は現在の仕事に生きていますか?

組織文化の醸成については、企業のほうが一生懸命取り組んでいたと思います。

国の場合、「国のために働く」という一種の社是が口に出さなくても共有されていますが、企業は必ずしもそうではなく、一体感を醸成するため、経営方針を部下に説明してディスカッションしなければいけない。

あと民間にいたときは、「難しくて言っていることがわからない」と言われ、自分自身の物差しでモノを見ちゃいけないと思いました。役所だと、役所や国会の用語があり、「一を言えば百わかるだろう」という感じで通じてしまうところがある。でも民間では説明しないと伝わらないことが多々ありました。かみ砕いて説明することが結果的に相手との関係を強化することにもつながり、マネジメント能力はかなり鍛えられて今も役立っていると感じます。

総務省に戻ると、本当にみんな辞めていって中途の方が増えていてびっくりしました。今の直属の部下も転職者です。中途採用でくる人はわからないのが当たり前だと思ってかみ砕いて説明したり、こう考えているからこうやってほしいと、自分の考えをちゃんとデリバーしたりするようになりました。

個々人が強くなる組織作りが必要

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