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10浪「農工大」夢を諦めた彼を救った"ある存在" なぜ獣医の夢に方向転換?5浪目のある出会い

東洋経済オンライン / 2024年2月4日 7時0分

「自分は人に嫌われていると思うことが多くなりました。日中、相手のことについて『なんでこの人は自分を嫌いなんだろう?』と思いを巡らすことが多く、つらい思いをしていました」

高2・高3では友達ができるようになり、思いを巡らすことは減ったそうですが、高1のときに悩んだことがきっかけで、精神科医になりたいと彼は強く思い始めます。

「もともと自分は小さい頃から頑固でこだわりが強いところがあったので、それで人間関係のいざこざを起こしていた部分はあったと思います。だから、自分の(性格が)悪いとか、自分を変えたいという思いが強くなり始め、人の気持ちがわかり、手助けができるような精神科医になりたいと思ったのです」

ドクターストップで現役での受験を断念

しかし、高校卒業間際には、受験なども加わった複合的な要因でメンタルを崩し始めていたようです。かかりつけの精神科医の支えもあり、なんとか学校に通って卒業することができましたが、無理して受けたセンター試験の点数は、5割を少し超える程度。

センター試験以降の受験も「大学を受けられる精神状態じゃない」と判断した医師によりドクターストップがかかり、現役での受験は断念しました。

現役での大学は受験せずに終えたレトロプリンさん。それでも、精神科医になるという夢のためには医学部に行く必要があったため、「やむをえず」浪人を決断します。

浪人を始めてからのレトロプリンさんは精神科医になるための勉強をしていたものの、さらに精神面を悪化させてしまい、彼自身も精神科に定期的に通院するようになりました。

彼は自身の状態との兼ね合いもあり、実家で安静にして無理をしないように勉強を続けていました。試験を何も受けず、「ずっと精神的にどんよりした状態が続いた」数年間を、彼はこう振り返ります。

「じっくり療養していました。よく公園をぼーっと歩いていましたし、たまに父親に誘ってもらい、気晴らしにキャッチボールをしてもらっていました。思えば、親はとても気を遣ってくれていましたね。映画作品の『余命10年』のように自分の息子のことを怖くて触れずそっとしておく感じでした」

「精神科医に向いていない」の一言

自分自身にも焦りやプレッシャーもあったそうですが、さらに大きく精神的に落ち込む挫折が4浪目に訪れます。

「高校を出てからも定期的にカウンセリングに行っていたのですが、この年、かかりつけの精神科医に『君は精神科医に向いていないよ』と言われたんです。私は『敏感で人の機微に気がつくために、一歩離れて冷静に患者さんを診ることができない』とのことで、『鈍感な人でなければ“人間”相手の精神科医は難しい』とアドバイスをいただきました。それで目標を見失って、前向きに生きる意欲がなくなりました」

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