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10浪「農工大」夢を諦めた彼を救った"ある存在" なぜ獣医の夢に方向転換?5浪目のある出会い

東洋経済オンライン / 2024年2月4日 7時0分

そのとき、私はアメリカで最先端の獣医行動学を学んでこられた入交先生のもとでどうしても勉強させてもらいたいと思ったので、入学を辞退し、来年度の獣医学部の受験もいったん諦め、東京農工大を目指すことにしました。獣医になるより先に、専門家のもとで学ぶことで、自分もその分野の専門的な知識を身につけるほうが優先順位が高いと考えたのです」

レトロプリンさんが自身の将来の目標として目指していたのは『獣医行動診療科認定医』。これは「行動診療を通して動物と飼い主の幸福増進に貢献するとともに、獣医動物行動学分野の発展に寄与し、わが国における同分野の啓発と普及に貢献するための努力を惜しまない獣医師」のことを指す、と熱心に語ってくれました。

こうして、自分が獣医学部に入るよりもまず、専門家に会ってその人のもとで学び、自分も獣医行動診療の専門的知識を得てから、もう一度獣医学部に入り直すという一本の線が、彼の中でできたのです。

国公立大学の入学辞退を決めたレトロプリンさんは、精神面がだいぶ快方に向かっていたこともあり、ついに大きな勝負をかけます。彼は10浪目に、河合塾の九大医進アドバンストコースに通い、本格的に勉強を開始します。

この1年にかけていた彼は、今までジワジワと成績を伸ばしつつも成績が伸びきらなかった理由を「分析の甘さ」と考え、振り返ることにしました。

「1年が始まる3月に、5年間受け続けてきた模試をひたすら分析しました。すると、毎回数学で同じ分野を間違えていることに気づけたんです。だから、基礎を身につけなければならないと考えて、3月から6月にかけて、数学の黄チャートをひたすら反復して、すべて終わらせました」

今までもすでに数学の偏差値は65程度あったそうですが、この1年に懸ける彼の熱量はすさまじいものがありました。「精神的に落ち込まないように筋トレもしながら、朝から晩まで予備校にこもって勉強を重ねていた」彼のこの1年の様子を見て、長い浪人生活に疲れていた彼の両親も、少し安心したようです。

「朝起きたら授業行って復習して、18~19時くらいまで勉強してから帰宅し、料理を作って、風呂を洗い、洗濯や掃除や犬の世話なども必要なときには行い、20時から復習をして、24時には寝るようにしていました。

親は自分が東京で1人暮らしができるか心配していたので、勉強をしていない時間も『心配いらないな』と思ってもらえるように動いていました。なんとか自分の力で人生を前向きに生きようと思えた1年間でした」

東京農工大についに合格をはたす

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