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10浪「農工大」夢を諦めた彼を救った"ある存在" なぜ獣医の夢に方向転換?5浪目のある出会い

東洋経済オンライン / 2024年2月4日 7時0分

東京農工大の模試の判定はC~B判定が多く、A判定は取れませんでしたが、彼は確かな手応えをつかんでいたそうです。

センター試験本番では7割程度と失敗したそうですが、2次試験対策をバッチリしていた彼は自信を持って出願し、見事に東京農工大に合格しました。

「試験が終わってすぐ、受かったなと思いました。この1年に懸けてきたので、戦略通り受かって安堵しました」

こうして10年にも及んだ浪人生活を終わらせたレトロプリンさん。彼に浪人をしてよかったことを聞いてみると、「人生を俯瞰して見られるようになった」、頑張れた理由については「ポジティブだったから」と答えてくれました。

「体調を崩し、長い間実家にいたことで、本当に自分の好きなことや、したいことを模索し、見つけることができました。自分は小さい頃から頑固でこだわりが強い人間でしたが、自分はやればできるんだという思いが心のどこかにいつもあったので、周囲にどう思われても『自分はできるんだ!』って思っていました」

東京農工大に入ってからのレトロプリンさんは、願い通り、樹木の勉強をしながら、動物行動治療の専門医である入交先生のもとで学ぶことができました。

1年生からパピークラス(子犬のためのしつけ教室)でアルバイトをしながら、先生のもとで動物の行動診療に関する知見を深めていきました。学び続ける中で4年生へと進級した彼は、当初の目的であった行動診療科の獣医になるために入学試験を受け、見事に私大の獣医学部の合格を勝ち取りました。

「先生にはとても親身になって話を聞いていただき、実家の犬の症例の相談をしたり、先生の担当する『動物行動治療学』の授業を取って勉強させていただきました。その経験で十分な知識を得ることができたので、ようやく自分が動物を救うためのスタートラインに立てたと思います。

最初に浪人を始めてから、目標を叶えるのに20年近くかかりました。でも、自分には好きなことを追求しなければ、どうあがいても人生はうまくいかなかっただろうなと、浪人の日々があったからこそ気づけました。浪人を通して、明確に生き方が変わったと思います。

10年も大学に入るまで待ってくれて、さらにその大学を卒業してから獣医学部に入るという選択ができるのも、自分が恵まれた家庭に生まれたからだと自覚しており、自分を支えてくれた両親や、お世話になったみなさんに感謝したいです。

バカ息子になりたくないと思っているので、これから立派な獣医になって、親や周囲の方々に与えてもらったものを少しでも還元していきたいと思います」

獣医行動診療科認定医を目指す

私大の獣医学部で学ぶレトロプリンさん。最後に、これからの自身の目標について語っていただきました。

「自分はこれから、まだ日本に少ない獣医行動診療科認定医を増やすための手助けをしたいと考えています。問題行動が出たら、(動物を)叩けばいいだろうと思っている先生もまだ少なくないので、世間に『動物の問題行動に対する適切な理解』を推進できるよう、立派な獣医行動診療科認定医になるために頑張ります」

10年の浪人を経て、ようやく夢へのスタートラインにたどり着いた彼の生き生きとした表情から、どんなに長く大きな挫折も、前向きに捉えることができれば、最終的には1本の線で繋がるのだということを学ばせてもらいました。

レトロプリンさんの浪人生活の教訓:長い挫折は、自分の生き方を見つけるための充電期間になる

濱井 正吾:教育系ライター

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