イーロン・マスクが宇宙にこだわる本当の理由 タイパ・コスパの「対価」と国家という「重力」
東洋経済オンライン / 2024年2月5日 10時0分
両者の違いは何かというと、起業は野心的で一旗あげたいみたいな気持ちで始めるものだけど、アントレプレナーシップは、会社を通して自己実現したいみたいなことなのかなと思います。アントレプレナーシップって日本語に翻訳すると起業家精神。そもそも言葉自体が新しいことからもわかるように、新しい概念なんですよね。シリコンバレーのスタートアップが注目され始めたことで広まったイメージで。自分の起業の背景にも、野心的なものももちろんあるんだけど、同時に自分はこういう人間でありたいというものもあって、それを表現する手段として起業っていう選択をしたような気がしています。
日本古来の独自の組織形態は劣っていない
坂本:青木くんが言ってる、過去の会社や組織と現代のそれとは始まり方が違うということは、ものがない時代と必要なものは出揃っている時代という違いもあるよね。
松下幸之助さんや本田宗一郎さんの時代の起業は、ものがない時代に必要とされるものを作ることで社会還元するフェーズ。
今の起業はもはや、大体必要なものは揃ってて何が必要なのかようわからんっていう中で行われている。社会に足りないものが基本的にはないという中で、そのうえでまだ社会で起業する意味ってなんだろうみたいなことを突き詰めると、グローバリズムみたいな世界観に入っていくんじゃないかな。そんな組織のより上位互換が、GAFAみたいな。
でも、一方で平川さんは日本古来の独自の組織形態が決して劣っているわけではないということを言ってるよね。これまでは日本古来の組織形態って良いものじゃないって思い込んでたわけ。年功序列とか護送船団方式とか、日本企業の特徴だと言われていることがグローバル化でなくなっていくことで良くなったと思っていた。でも『グローバリズムという病』を読んでると全然そうじゃなくて、意図的に解体された節があるなと思って。それが衝撃だったな。
青木:そうなんですよね。グローバリズムって二層あって、1つはアメリカの政治経済のイニシアチブをとっている人間が得をするような戦略の形。だから日本の経済を解体していく方が得するという流れなんですよね。もう1つは人類普遍の価値観みたいな感じで喧伝されて、僕らも受け入れてしまっているという点。
坂本:グローバリズムって、もう国境なくなったらいいじゃん、地球はもう1つの国でいいじゃん、その方が諍いもなくなるじゃんみたいに一見良さそうに思える。自分はそこについてしっかり考えたことなかったから、この本で色々と考えさせられて。今はローカリズム的なところに身を置いてるわけだけど、それはただのカウンターカルチャーでゲリラ的な存在くらいにしか思ってなかったんだよ。
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