イーロン・マスクが宇宙にこだわる本当の理由 タイパ・コスパの「対価」と国家という「重力」
東洋経済オンライン / 2024年2月5日 10時0分
一方で、1990年代の日本の経済、地域の強さの解体っていうのは、本当の苦しさを味わって「あんな辛い思いしたくない」という戦前世代がいなくなって「システムの中で、まあ、やってけばいいじゃん」みたいな人が多数になって起きたように思います。「失われた20年」みたいにならざるを得なかったのかなと。
僕は松下やソニーの本などを読んで「なんでこの人たち、こんなにもアメリカで商売しようとするんだろう」と理解できないポイントとかありましたもん。僕自身、今運営しているComiruをアメリカで販売していこうとなかなか考えられないですし。悔しいとか本当に辛い思いをしたっていう部分のエネルギーが経済戦争を仕掛けるみたいなものに繋がるのかなと思います。ある種の負の体験をバネにしているから、どんな理不尽にも耐えられるっていうあり方だったんでしょうけど、それがないと頑張れないっていうんだったらちょっと……とも思います。
本当の意味での自由
坂本:理不尽に耐えるのと同じくらいの強い動機ってあるんだろうか。持たねばならないとは言わんが、いるんやろうな。どうなんだろう。
栗原:理不尽みたいなものの体験がベースとしてないと、本当の意味での自由を感じ取れないのではないかなとも思います。また、自由って寛容の精神なのではないかなとも思ってて。宗教的に違っても、思想的に違っても、受け入れましょうという。人間ってカウンターに対する自分のポジションみたいなことによって、はじめて自分の位置を確認できるみたいな部分ってあるじゃないですか。自分らしくっていうことが問われているけど、めちゃくちゃ難しいし。
青木:カウンターというか、他者がいて自分がいるっていう感じかな。ソ連が崩壊したりしたことで、資本主義、自由主義の勝利だと言われたわけだけど、じゃあ何が不自由になってきたかっていうと国家自体の存在だと思うんですよね。国家というものを超えて人間が自由を行使できたら、より利益が追求できるという時代に入ってきた。それで多国籍企業やグローバル企業と言い始めて。じゃあ、グローバル企業の人たちは次に何を不自由に思うかっていうと、重力なんですよね。地球を不自由に思うから、イーロン・マスクとかも宇宙に行くわけで(笑)。
坂本:確かに(笑)。なんかガンダムみたいな話になってきた。
タイパ・コスパと「対価」
青木:慎吾がいうように不自由や他者っていう、自分が思うようにできないものがあるからこそ「何を思い通りにしたいのか」を考えるというのはありますよね。人間が他者や不自由を必要とするって、そういう意味なんじゃないかな。
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