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イーロン・マスクが宇宙にこだわる本当の理由 タイパ・コスパの「対価」と国家という「重力」

東洋経済オンライン / 2024年2月5日 10時0分

でもそうじゃなくて、過去の日本企業の大躍進って信用とか信頼に重きを置く経済と資本主義経済っていう二重構造になっていたが故の強さがあったのかなと思う。多分アメリカはそのスピード感ある躍進をすごく脅威に感じて分析した結果、日本的な組織のあり方が裏にあることに気づいたんじゃないかな。

栗原:『プロジェクトX』の世界観ですよね。工場の人、開発の人たちが家族的な感じで朝から晩まで新製品の開発に取り組んで品質がいいものを作ろうという強い共通意識があって、そこで生まれた製品がアメリカや他国にどんどん流通していって、フォードだのGMだのGEが駆逐されていくという。

ジャパンアズナンバーワンとも言われていましたが、その裏側には日本の銀行がとんでもない資金力でリスクマネーを供給している事実もあった。商人の魂があるような人に対して、うちがリスクとってお金を貸してやろう、これが国の発展に寄与するのであればとインビジブルなものによって突き動かされる余地があった。それが護送船団方式とかバブル崩壊以降の金融庁の管理みたいなもので、解体されてしまったと思います。

反米闘争としての戦後経済成長

青木:平川さんから、戦後の経済成長は反米闘争だったと聞いたことがあります。太平洋戦争には負けたけど、経済的にはアメリカに勝つんだという戦争ですね。それこそ「24時間戦えますか」で。

今の価値観でみたら「それはダメでしょ」という部分もあるんだけど、その意気込みの裏側には大和魂、日本精神っていうインビジブルアセットがあったと思うんですよね。太平洋戦争のとき、戦場に向かう男性を女性や子どもが讃えたり、工場で兵器を作って協力したりするというあり方も、戦後高度経済成長を実現したあり方と全く一緒ですよね。

敗戦で国名や憲法は変わったけど、精神的な部分は良くも悪くも継続されていたんだと思います。それが本当に解体されたのが1990年代以降ですよね。封建的な価値観が解体されて自由を得た面がある一方で、日本独自の良さみたいなものも同時に解体されてしまったのではないでしょうか。

栗原:三菱や住友だけでなく、松下も戦後に財閥指定されて財産も全部没収されて解体されているんですよね。

GHQは、財閥や日本の経済的な仕組みを分析してまた伸びてこないように相当な施策を打ってきた。それにもかかわらず、システムが解体されても不死鳥のように復活してきたわけですよね。株式の持ち合いをするなどして、解体されたシステムの中でいかに切り抜けるかという日本のローカライズ性みたいなものを担保するような動きをして。システムの中にいる生身の人間の負けた悔しさや不条理に抗う気持ちが復活を実現させてきたようにも感じます。

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