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横浜ゴム「アドバンスポーツ」タイヤ開発秘話 欧州で鍛えた総合性能と、その未来像に迫る

東洋経済オンライン / 2024年2月5日 11時50分

西:欧州ブランドに対するアドバンスポーツとしての純正装着はいつから始まったのですか?

不:2004年です。具体的な商品としては「アドバンスポーツV103」で、このタイヤがベントレー「コンチネンタル」に純正装着タイヤとして選ばれました。

西:欧州自動車メーカーのプレミアムスポーツブランドへの採用は相当ハードルが高かった?

不:はい、ものすごく。社内でも専門のプロジェクトチームを立ち上げて企画、開発に取り組みました。しかし、この経験は我々にとって大きな財産です。タイヤの付加価値を高めることで自動車メーカー、そして車両のオーナーからも信頼をいただきつつ、我々としてブランドイメージを高められる。その相乗効果は計り知れないものでした。

西:そのV103ではリプレイスタイヤ(市場で購入可能なタイヤ)も販売されていますよね?

不:はい。純正装着されたV103をベースにリプレイスタイヤを開発し、2005年に市場へと投入しています。

西:ちょうどその頃から、ハイパワーエンジンを搭載した車両重量のかさむSUVが自動車メーカー各社から誕生してきましたが、それに対応するタイヤの開発という側面もアドバンスポーツに期待されてきたと思います。開発での苦労はどこにあったのですか?

不:純正タイヤの開発は自動車メーカーからの高い要求性能があり、確実に達成する必要があります。同時に、それらの性能を満たす商品を作り続けるために、どうやって品質や精度を維持しているのか、自動車メーカーから製造工場に適宜、監査が入ります。「そうではなく、こうすべきである」というきびしいご指摘を受けることも、当初は少なくありませんでした。

西:きびしい要求だったのですね。

不:はい。しかし、我々にとってはありがたくもあるご指摘をいただいていたからこそ、製造工場での改善速度が従来よりも一気に高まりました。

西:アドバンスポーツがプレミアムスポーツモデルへ純正装着され、その後、V103という商品として市場にもリプレイスタイヤとして導入されたわけですが、2005年以降は、さまざまな特徴をもったタイヤが各社から発売されました。優位性を保つためにどのような策を練っていたのでしょうか?

不:ひとつはランフラットタイヤです。ランフラットタイヤとは、タイヤ側面を補強することで、パンクなどにより空気が抜けた状態でも変形を抑えることで一定距離を一定の速度で走行できる構造を持っています。万が一パンクしても、修理工場まで走行できるようにすることで、路上でのタイヤ交換作業による危険を解消するだけでなく、スペアタイヤが搭載不要になることで車両軽量化、車内外のデザイン向上に貢献します。

タイヤにおける総合性能の追求

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