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横浜ゴム「アドバンスポーツ」タイヤ開発秘話 欧州で鍛えた総合性能と、その未来像に迫る

東洋経済オンライン / 2024年2月5日 11時50分

西:そのほかの商品はありますか?

不:欧州向けに特化したタイヤができました。2005年頃から、アドバンスポーツをグローバルフラッグシップにしようとする位置付けが社内でも始まりました。また、2009年には静粛性を高めた「ADVAN dB」(アドバン・デシベル)をアドバンブランドに加えています。これまでアドバンブランドはモータースポーツ色が強かったのですが、さらにプレミアムブランド方向にも育て上げたいという狙いがありました。

西:静粛性が高くてハンドリング性能が良い、ドライ路面/ウエット路面のいずれでもグリップ力が強いなど、相反する性能を実現することが自動車メーカーや消費者からは求められていますよね。

不:我々は、ひとつだけ突出した性能をもったタイヤづくりを目指していません。タイヤに求められる総合性能を高い次元で達成するように開発してきました。また、モータースポーツシーンにおいてもご評価いただいているウエット路面とドライ路面で両立させているグリップ性能を、一段と向上させていくことも命題のひとつです。よって、「V105」(2013年発売)の後継モデルである「V107」(2022年発売)にいたっては、どれかひとつの性能を上げるのではなく、全体性能を向上させるため開発の手を緩めずに商品化を進めてきました。とはいえ、こうした相克する課題達成は、私が属する企画側からすれば市場優位性を確保するための必達条件ですが、実際にタイヤを開発する現場からすれば、「技術難易度が高すぎる。なにを言っているんだ!」と反対される部分でもあります。しかし、良いタイヤを創り上げることがお客様のためになるという信念のもと議論を重ね、企画、開発、そして製造の現場が一丸となって商品化にこぎつけています。

西:具体的な商品進化の方向性は?

堀内さん(以下、堀):アドバンスポーツたるゆえんは「ハンドリング性能」です。V103が商品化された頃、とくに日本市場では「低燃費性能」が求められていましたが、欧州市場では自動車メーカー含めてハンドリング性能が重視されました。そのため、ハンドリング性能を第一に考えた部材をたくさん投入する必要があり、結果的には低燃費性能を一部犠牲にしていた面もありました。しかしながら、V105へと商品が新しく生まれ変わるなかでは、市場からの要望でもあった「転がり抵抗性能」も高め、アドバンスポーツを名乗るにふさわしいハンドリング性能と転がり抵抗性能を両立させ、さらにその他の要求性能を高めています。

最新のアドバンスポーツV107の進化点

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