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インフレ下でも、あの商品がバカ売れする理由 これからの時代のヒットにつながる共通点とは?

東洋経済オンライン / 2024年2月8日 18時0分

人は「ない」と思うと欲しくなる生き物。「品切れ続出」の状態になると、値段に関係なく欲しいという人が現れます。人間の心理というのは不思議なものですね。また、彼女が言うように「カラーバリエーションの豊富さ」「個性的なネーミング」も、この商品の購入が「アガる」ことにつながっていることは確かです。

何本もコレクションさせてしまう魔法のネーミング

私がコピーライターとして、この商品の肝だと感じたのはネーミングです。

まずは「リップモンスター」という名前。ネーミングにモンスターを用いると大ヒットにつながることがあります。たとえば台湾のかき氷店「アイスモンスター」や、エナジードリンクの「モンスターエナジー」のように、一種のパワーワードと言えるかもしれません。

ただし、これまで化粧品のような女性的な印象が強い商品につけることは、まずありませんでした。だからこそ、そのインパクトは絶大でした。

口紅というアイテムで、商品名がこれだけ前面に出て認知されているものはなかなかありません。コピーライティングの肝として「合わない言葉を組み合わせることで化学反応を起こす」というテクニックがあります。「リップ」と「モンスター」の組み合わせはまさにこれです。

KATEの開発担当・宗田杏樹さんのインタビューによると、この「リップモンスター」という製品名は「とにかく落ちにくそう、なんだかスゴそうという最強感、貪欲な期待感を思わせる名前」として考えたといいます。そこから転じて「モンスターが住む世界って、こんな感じ」とストーリーを深めていき、個々のカラーの名前もその世界観からイメージしていったそうです。

ネーミングにストーリーがある

そう、「リップモンスター」がすごいのは、全体のネーミングだけでなく個々のカラーのネーミングにもストーリーが感じられるという部分です。

たとえば「憧れの日光浴」というカラーは、「普段は夜に活動しているモンスターにとって太陽は縁遠いもの。でもだからこそ、日光浴に憧れていて……というストーリーをのせた、フレッシュなオレンジカラー」と説明されています。

「水晶玉のマダム」は「水晶玉の中に住んでいる真っ青な顔のマダムでも、この色を塗ればたちまち血の気がよみがえるはず、という色」。

「ラスボス」は「肌トーンを選ばず、どんな人も掌握する色。他のカラーが敵視する存在、ということから名付けました」とのこと。

ネーミングだけではもちろん、説明を読んでも「じゃあ、どんな色なの?」とわかりにくいのですが、そこが逆にいい。1本買うと、なんとなく他のカラーも気になってくるというわけです。

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