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インフレ下でも、あの商品がバカ売れする理由 これからの時代のヒットにつながる共通点とは?

東洋経済オンライン / 2024年2月8日 18時0分

発売された時期が、コロナ禍であることを考えれば、「マスクにつかない口紅」というのはかなり重要なスペックであり、この機能だけを打ち出すような売り方もできたに違いない。

しかし「リップモンスター」はそうしませんでした。閉塞感のある状況で、人々の意識がリップメイクから遠ざかっていたときに、あえて最強感というか、「とにかく強い」という世界観を打ち出す。その逆張りのような戦略によって消費者の感情を動かし、再び口紅というものにフォーカスさせた。抑圧された状況下で、「リップモンスター」を買うことでつかの間の気分をアゲた女性は多かったに違いありません。それが爆発的なヒットにつながったのでしょう。

今までの常識を破った男性用下着で、完売状態が続くほどの大ヒットを飛ばしている商品があります。

それが女性用下着メーカーとして知られるワコールの男性用インナーウェアブランド、「WACOAL MEN(ワコールメン)」から登場した男性用高級下着「レースボクサー」です。

2022年には『GOODDESIGNBEST100』を受賞し、「WACOAL MEN」ブランドサイトの訪問者数も2倍以上になったそうです。

そう聞くと、いったいどんな下着なのか、ちょっと気になってきませんか?

オトコも下着でアゲたい

「レースボクサー」の価格は1枚4000円弱で、ラグジュアリーな総レース使いが特徴です。カラーはブルーや黒だけでなく、赤、ピンク、イエローとバリエーションが豊富で、コレクションする楽しさもあります。ジェンダーレスやLGBTQ+などの時代性にもマッチしており、メンズインナーの新しい提案として注目されています。

しかもセクシーさや美しさだけではなく、レースを使っていることから通気性に優れ、アウターに裾のラインが出にくく、穿き心地も抜群とのこと。一度試すと他が穿けなくなるという評判です。

「レースボクサー」の開発チームを取材したワコールの記事によると、メンズインナー全体の商品企画を担当する稲積美紀さんは、以前から「レースを使って男性用のパンツを作ってみたい」という夢がありました。男性にとって下着は日用品。女性のようにランジェリーで非日常を楽しむ習慣はあまりなく、黒、紺、グレー系のベーシックなデザインが主流です。

ところが2020年にワコールが消費者調査を実施したところ、データから「男性用インナーも女性用と同様に、きれいさや上品さが求められてきている」ことが読み取れたのです。メイクやネイルを楽しむ人が増えているように、男性たちの美意識に変化が起きている。今なら女性が下着に抱いている華やかでワクワクする感覚を、レースを使ったインナーウェアで男性にも実感してもらえるのではないか──。

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