家族ごはん卒業50代で直面"ひとりごはん"の葛藤 料理家も感じた「難しさ」、たくさんの後悔も
東洋経済オンライン / 2024年2月8日 18時0分
子どもが大きくなり、家族のためのご飯を"卒業"した途端、好きなものを自分のペースで食べられる解放感を味わった、という料理家の本多理恵子さん。
しかし、それも束の間。料理を作るモチベーションが上がらず、だんだん食生活は乱れていきます。だからと言って、料理をひとり分だけ作るのは難しく、昔と違って量を食べられないという現実も……。
本稿では本多さんの著書『50歳からのひとりごはん 少量・手抜き料理で生きていく!』から一部を抜粋。家族ごはんを卒業した料理家が実生活で直面した、リアルな境地を垣間見てみましょう。
料理家のリアル
私はもともと料理が得意でも好きでもありません。
【写真で見る】子育てが終わり、ひとりごはんが日常となった著者がひとり分の超簡単メニューを考案
しかし、今まで家族のために、というか子どもの成長のために、どうにか「人に食べさせるごはん」を作ってきました。
また、ひょんなことから飲食業を始め、その傍ら料理教室をかれこれ15年ほど開催してきました。
繰り返しますが、今でも料理が得意でも大好きでもありません。
でも、だからこそ「できない立場」「それほど好きじゃない立場」から見つけた知恵やレシピは少なからず反響を呼び、おかげで世の中にたくさんの「料理が好きじゃないけど作っている」同志がいることもわかりました。
この体験から、2018年に『料理が苦痛だ』という本を出しました。
実は多くの人が感じている「料理がしんどい」という思いは、料理を通じてたくさんの生徒さんとふれ合ってきた私だからこそ言葉にして発信すべきだと確信したからです。
その後も何冊かの書籍を通じ、毎日のごはん作りの現場に立つ人たちと共感し合いながら、様々な苦痛をやり過ごす知恵や方法をお伝えしてきました。
そして時は流れ、私のプライベートのごはん作りに変化が起こりました。
息子が高校を卒業したことでお弁当作りが終わり、さらに大学に入学したタイミングで、私も「家族のために作るごはん」を卒業したのです。
実に20年ぶりに夫婦2人の生活となりましたが、夫はほとんど家でごはんを食べないので、実質ひとりで食べる「自分のためのごはん」作りの環境へと変わったのです。
「自分が食べたいものを、食べたいときに食べればいい」
そう思ったとき、世界の中心で叫びたいくらいの解放感を味わいました。
誰にも追い立てられず、時間も気にせず、何の責任も負わず、自分の腹具合でいつ何を食べようが構わないという自由。
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