1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

食べログ逆転勝訴の決め手「別ロジック」の波紋 独禁法の「精鋭弁護士」は戦い方をどう変えた?

東洋経済オンライン / 2024年2月9日 7時40分

問題となった食べログ評価の画面(写真左、食べログサイト)、1月19日の高裁判決後に都内で記者会見を開いた、原告の焼き肉チェーン代表イム・ファビン氏(写真右、記者撮影)

「日本全国のチェーン店にとって、非常に悲しく残念な結果であり、衝撃的な判決だった」

【図解で見る】地裁と高裁で判断はどうわかれたのか

焼き肉店チェーンのオーナー、イム・ファビン氏。グルメサイト最大手「食べログ」を独占禁止法違反で訴えた裁判(詳細はこちら)で、1年半前に「ジャイアント・キリング」とも言える判決を勝ち取り、一躍時の人となった。そのときとは打って変わり、1月19日は報道陣の前で厳しい表情を見せた。

2022年6月16日、東京地方裁判所は2019年5月に行われた食べログ上の評点を算出するアルゴリズムの変更が優越的地位の濫用に当たるとし、被告食べログ側に原告焼き肉店への損害賠償3840万円の支払いを命じた。

敗訴した食べログ運営会社、カカクコムは即日控訴。弁護団には1審を担当した3名の弁護士に加え、「四大法律事務所」の一角、森・濱田松本法律事務所から計6名を増員した。その中には地裁で会社間紛争を取り扱う、民事第8部の元トップ(部総括判事)も含まれていた。まさに「独禁法の精鋭集団」で2審に臨んだ。

そして1月19日、東京高等裁判所は地裁判決から一転、独禁法違反は認められないとし、食べログ側の逆転勝訴判決を言い渡した。

1審から戦い方を変えた

高裁と地裁で判断がわかれたのは、主に「正常な商慣習に照らして不当」か否かだ。この「不当」とは、アルゴリズム変更の意図や目的、相手側への不利益の内容やその程度を考慮して判定される。

1審では不当であると認定され、2審では認定されなかった裏側には、食べログ側が「1審から戦い方を大きく変えた」(森・濱田松本の責任者、河井聡弁護士)ことが影響している。

1審で争われたのはチェーン店の評点を下げるアルゴリズム変更、「チェーン店ディスカウント」そのものの違法性だった。原告、被告、裁判官の議論がここに集中した結果、地裁は「チェーン店にとってあらかじめ計算できない不利益」が発生したと判断した。

一転、2審では食べログ側が「チェーン店ディスカウントではない」(イム氏)という「別ロジック」の存在を強調したという。現在、食べログ側の請求に応じて閲覧制限をかける箇所を裁判所が審理中のため、判決文が公開されていないが、取材を通じてこのロジックの概要がわかった。

その主な内容は、サクラ行為対策のための「レビュアー」の影響度調整だという。食べログの評点は、その店舗を訪れた人の口コミから算出されるが、1人ひとりの評点への「影響度」は均一ではなく、レビュアーの過去の投稿回数や内容によって決定される。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください