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今のニュースメディアに欠けている機能とは何か 「情報を提供するだけ」では未来はない

東洋経済オンライン / 2024年2月9日 10時10分

松井:坪田さんの言われる行動選択のための情報に対して、コタツ記事は明らかにエンタメなんですね。暇つぶしです。スマホを持っている人にはものすごく暇つぶしの機会があるわけで、電車を待つちょっとの間に、コタツ記事の方がアテンションが高いのでつい読んでしまう。しかもSNSの発達で、個人が求める楽しみの情報も行動選択の情報も、自分の知り合いの投稿からやって来ることが多くなってきています。

柳瀬:エンタメ業界が参考になるかもしれない。NetflixやAmazonプライムなどのサブスク消費が伸びると、映画館での興行収入が減るのではないか、とささやかれていた時期があります。

しかし、うまく仕掛けると興行収入が大きく増える場合がある。2020年10月公開の『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』の史上最高のヒットは、サブスクのお陰でしょう。多くの人たちがNetflixやテレビ放映などを通じてこのシリーズを見ており、すでに「予習」が終わっている。その盛り上がった状態で映画が公開されるわけなのでウワッと観客が集まる。すごい仕掛けです。

とりわけ漫画原作のアニメと映画ではこの方程式が確立しました。サブスクで消費したお客さんの一部はそこにとどまらず、リアルな世界でさらにリッチな消費をしてくれる。僕はこの流れがニュースメディアにとってもすごく参考になるんじゃないかなと感じています。

松井:似た構図としては、本から一部抜粋してウェブに書いて、本の販売サイトに誘導しつつ、著者が講演する講演会を企画して、そこでもお金を取るというのがありますね。

坪田:体系的にものを考えている層がいるわけです。そういう人たちは情報をしっかりと深掘りしたい。それはお金を払ってでもやりたいわけです。そういう層と、ザッピングカルチャーで無料のものをつまみ食いしていく層がいるわけです。これから、この二極分化がもっともっと進んでいくと感じています。

わかった気にさせるというのは重要な価値

藤村:ざっくりわかった気にさせるっていうのが、紙に印刷する新聞には可能です。いろいろな事象が(紙面に)扱われていて、ページをめくるだけで見出しが目に入って、世界がこんなふうに動いてるんだな、となんとなくわかった気になります。

わかった気になる(させる)というのは、実は非常に重要な価値だと僕は思っています。ところがウェブになることで、そうした新聞ならではの役割は希薄化してきた。なぜなら、ウェブでは無償で読めるものでも、ざくっとわかった気になる。ざくっとわからせるという役割は、新聞以外のメディアでもできるようになったからです。

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