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今のニュースメディアに欠けている機能とは何か 「情報を提供するだけ」では未来はない

東洋経済オンライン / 2024年2月9日 10時10分

坪田:情報は指数関数的に増えている。その中で信頼できる情報とは何なのかを判断することには、大きな市場価値があると思う。

今はオールフラット(全員が平等)ということをベースにしてものを考えているけど、ある種の階層化が進んでいくと思う。それをどういう形のプラットフォームにしていくのか。誰かが思いついてサービスを始めたら面白いことが起こりそうな気がします。

松井:現状では、オールフラットを志向し続けると思います。今の日本の新聞社としては、一覧性があって、どんなニュースが起きているのかをちゃんと知ってほしいという考えがまだまだ強い。個々人がそれぞれの興味だけを突き進めてしまうと共通の知識や理解が失われ、民主主義の根幹が揺らぐという懸念を、新聞社は持っているからです。

もちろん共通の知識や理解のもとになるべき各記事の信頼性には課題がある。そこで、新聞社やネットメディアなどが連携して、OP(オリジネーター・プロファイル)という、情報空間の信頼性を担保できる仕組みをつくろうとしています。コンテンツに情報発信者をひもづけ、信頼できる発信元だとわかるようにするものです。

記者はファシリテーターへ

柳瀬:ウェブ上で1000万人の有料会員を獲得したニューヨーク・タイムズの成功の背景を見ると、テクノロジーにものすごく投資したということがあります。ニューヨーク・タイムズは、インターネットの時代のプラットフォームを自分でつくらないとダメだと判断したんです。

ニューヨーク・タイムズは従来の新聞の形を捨てたから生き残れたと言えます。デジタル上の総合メディアということで、ゲーム、クッキングに加えて商品レビュー、スポーツといったサービスないしメディアを、従来のニュースメディアとセットで販売する戦略をとってきました。

校條:そうですね。コンテンツからサービスに、読者から会員に転換したわけです。そして、入り口の価格は思いきって安くする価格政策を一貫してやってきたということも言えます。

松井:冒頭に坪田さんの言われた「協考」という言葉は重要な意味を持つと思います。

テクノロジーの力によって読者と一緒に考えるプラットフォームを作り、メディアがそこに橋渡しできるとしたら、それはすごいことだと思います。

坪田:情報を提供すると同時に、ファシリテートする能力を、僕は新聞記者は持っていると思う。そうした社会的な問題を扱うファシリテーターが日本国中にたくさん生まれて、そこでいろいろ議論が起きていくことが民主主義の正しい姿なんだと思う。

特に地方紙はそういうファシリテーションをするキーステーションになるべきだと思っています。

藤村:おっしゃる通りだと思いますけど、新聞記者にそういう能力があるのかというと、たいへん心もとない気がするのですが(笑)。

坪田:素質はあるけど、やっぱりトレーニングしなければダメですよね。でも、まあ、やろうと思えばできますよ。

校條 諭:メディア研究者

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