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今のニュースメディアに欠けている機能とは何か 「情報を提供するだけ」では未来はない

東洋経済オンライン / 2024年2月9日 10時10分

となると新聞の役割は深掘りすることかということかもしれない。ところが、その領域にまだ入りきれていないというふうに僕は思っているんですね。だからインターネットの時代に新聞はどっちのほうに行くんですか?と問いたいのです。

校條:新聞はどこにポジションを取っていくのか、ということですね。確かに以前はひとつの記事の長さが800字程度というのが標準だったし、それほど長い記事はなかった。でも今、主要な新聞ではかなり長い5000字級のストーリー記事が増えています。紙にも載せていますが、デジタルなら長さの制約がありません。

藤村さんが言われるような”深掘り”の水準には達してないかもしれないですが、ザッピング的な水準よりは物事を体系的に考えるという人に合っているのではないでしょうか。そこからもっと深掘りしたいのであれば、たとえば新書がテーマごとにたくさん出ていますよね。

地方紙は別として、新聞の目指すべきポジションはそれしかないんじゃないでしょうか。ただ、その場合、これまでのような大部数は諦めるという割り切りが必要だと思います。

藤村:とはいえ今情報があふれているので、限られた時間でザッザッとザッピングできる、つまり”信頼できる要約”にはそれなりに価値があります。今の若い人たちの多くは、長文に耐えられない。でもその人たちが誰に頼るのか、という課題がいずれ顕在化します。その役割を新聞が担うと言い切れるほど僕は楽天的になれませんが、新聞にも可能性はあると思います。

ただ、ここから怖いストーリーも考えられる。”信頼できる要約”を生成AIがやることになるかもしれない。つまりカスタマイズされた生成AIであるマイAI君に頼んで、「時間がないから今重要なニュースを教えてよ。5分でわかるように情報整理して」と問いかけると、5分で説明してくれるわけですよ(笑)。

ネット上ではテレビのニュースが人気化

柳瀬:短時間でインパクトのある情報を伝える、という点では映像に注目する必要があると思います。

私が教鞭を執っている東工大の学生の場合、この数年の間に登場したテレビ局による映像付きテキストメディアが新聞サイトより多く見られている。アンケート調査をしたところ、NHKニュースウェブ、フジテレビFNNプライムオンライン、TBSニュースディグなどテレビ局のウェブメディアは、新聞や雑誌のウェブメディアの2倍以上見られていました。

映像はテレビ局の独壇場です。一方、テキストは新聞や雑誌だけではなくテレビ記者でも作れるわけです。ネット上ではテレビのニュースが若い人に見られやすい。非常にシンプルなことが起きちゃっている。

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