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静岡リニア、相次ぐ「新局面」はJR東海に朗報か 県は47項目を整理、国は新組織を立ち上げ

東洋経済オンライン / 2024年2月12日 6時30分

静岡県の川勝平太知事(左)と会談する国土交通省の村田茂樹鉄道局長(中央)=2024年2月7日(記者撮影)

工事を始めたいJR東海と、大井川の水資源問題や南アルプスの環境保全を理由に工事を認めない静岡県。リニア中央新幹線の静岡工区をめぐる問題は情報戦の様相を帯びてきた。きっかけは大井川流域自治体の1つ、島田市の染谷絹代市長のこの一言だ。「県から報告書に関して説明してもらったことはない」――。

【写真】県の見解を説明する静岡県の森貴志副知事。国土交通省の村田茂樹鉄道局長と面談した川勝平太知事

県に不満示す大井川流域市町

国の有識者会議が昨年12月に報告書をまとめ、有識者会議の中村太士座長(北海道大学教授)や国土交通省の村田茂樹鉄道局長らが1月21日に静岡県を訪問、静岡市長、および大井川流域10市町の首長らに相次いで説明を行った。

染谷市長は10市町の首長を代表する形で「理解が深まった」と話したが、その一方で県に不満をぶつけた。県は有識者会議にオブザーバー参加して有識者会議の情報を把握しているにもかかわらず、川勝平太知事は定例記者会見でJR東海に対する発言を繰り返すばかりで、当事者である流域市町への報告を怠っているのではないかというのだ。

1月24日、JR東海はリニア中央新幹線事業に関する報道向け説明会を静岡市内で開催した。開業時期や先行開業区間など年末年始にかけて川勝知事から出されたさまざまな発言が、JR東海が発表している事実と異なる点が多くあり、誤解を与えかねない状況になっているため、あらためてJR東海の考えを直接説明したというのがその趣旨だ。

国やJR東海に比べると、川勝知事は事実関係の説明よりも持論を述べることを優先しているようだ。そんな空気を読んだのか、県で中央新幹線対策本部長を務める森貴志副知事は2月5日、「関係者の皆様がいろいろな話をしており、少し混乱している。それらの整理も含めて今後の進め方について話したい」としてJR東海との議論の進捗状況に関する県の認識を示した。

リニア静岡工区の環境影響評価については大井川の水資源、南アルプスの環境保全、発生土の置き場といった課題がある。県は2019年1月に専門部会を設置してJR東海と議論を始め、同年9月には「引き続き対話を要する事項」として47項目を列挙した文書をJR東海に送付。これらすべてが合意されない限り県はトンネル工事を認めないとした。

進展が見られない中、時間ばかりが経過。そこで国が調停役として有識者会議を立ち上げ、2020年4月から47項目について議論を始めた。水資源については2021年12月、環境保全と発生土については2023年12月に有識者会議が報告書をまとめた。これをもって国は47項目に関する議論は終了したと考えている。

国と静岡県、認識に大きな隔たり

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