「囚われた人々」奪還へ突き動かすイスラエルの教え どんな大きな代償を払っても人命を救う理由
東洋経済オンライン / 2024年2月13日 20時0分
イスラエル国防軍は2024年2月12日、イスラム武装組織のハマスに拘束されていた人質2人の奪還を発表した。イスラエルが人質奪還に向けて努力を傾ける理由は何か(写真・pawel.gaul/gettyimages)
2023年10月7日、ハマスはイスラエルに奇襲攻撃を仕掛けた。数千発のロケット弾を無差別に発射したのを合図に、3000人以上のハマス戦闘員がイスラエル領土になだれ込み、1000名以上の一般市民を虐殺し、200名以上の市民や兵士を拉致した。
赤ん坊の首をはね、住宅に火を放って生きたまま殺し、同胞であるはずのアラブ人(イスラエル国籍を持つアラブ人で、いわゆる“イスラエル系アラブ人”と呼ばれる人々)でさえ「イスラエルに魂を売った裏切り者」として有無を言わせず殺害した。
彼らは残虐の限りを尽くしたその様子を自らのSNSに公表した。それはまるで、イスラエルに一矢報いたという「お祭り騒ぎ」のような様相だった。
人質100人以上が解放されたが…
あれから4カ月以上の月日が流れた今も戦闘は続いている。何よりも、人質としてガザに拉致された人が200人以上いて、イスラエルはその救出に全力を尽くしてきた。
2023年11月下旬には、戦闘の一時停止やパレスチナ囚人の釈放、ガザへの人道支援物資の搬入などを条件に人質解放交渉が行われ、人質100人以上が解放された。戦争開始から約50日後のことだった。イスラエルに安堵と喜びの声が溢れた。
しかしそれもつかの間、ハマスがロケット弾を撃ち込み、一方的に戦闘を再開、イスラエルがそれに応戦する形で7日間続いた休戦はあえなく終わりを迎えた。
それ以来、人質解放に向けた交渉ではまったく進展が見られなかった。ハマスは、今後「人道的な」理由で人質解放を行うことはないと明言している。
年が明けた2024年1月、エジプトやカタールの仲介により、水面下で断続的にハマスとの交渉が行われていると報じられた。交渉内容はトップシークレットで詳細まではわからないが、互いに譲れない条件があり、事実上、交渉は暗礁に乗り上げていた。
そんな閉塞感が漂う中、2024年2月12日にイスラエル国防軍(IDF)は人質2人の救出に成功したと発表した。救出されたのは、ルイス・ハルさん(70)とフェルナンド・マルマンさん(60)だった。
シャバク(イスラエル総保安庁)、ヤマム(イスラエル国境警察対テロ特殊部隊)、イスラエル海軍のコマンド部隊などと連携し、IDFはガザ地区南部のラフィアフに監禁されていた2人を解放した。拉致されてから129日後のことである。
この作戦はヘブライ語で「ヤッド・ザハブ」と命名されていた。直訳すると「黄金の手」で、手先の器用さを表現する際に用いられる熟語である。
129日後の人質2人救出
この記事に関連するニュース
-
ガザ作戦「長期に」=イスラエル軍首脳、楽観論戒め
時事通信 / 2024年7月3日 16時1分
-
なぜガザの停戦案はまとまらないのか?「イスラエルは軍事力だけではハマスに勝てない...」
ニューズウィーク日本版 / 2024年6月18日 17時55分
-
ハマスとの停戦めぐり揺れ動くイスラエル国民 人質の全員解放か、ハマスの壊滅か…割れる意見
東洋経済オンライン / 2024年6月12日 17時0分
-
イスラエル国防軍、人質救出作戦で4人救出(イスラエル、パレスチナ、米国、フランス)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月10日 16時0分
-
イスラエル〝象徴的存在〟含む人質4人救出 ハマスの建物を同時襲撃した「アルノン作戦」の中身
東スポWEB / 2024年6月10日 6時8分
ランキング
-
1NYで人脈構築の小室圭さん、対照的な生活の眞子さんは「ほとんど外出せず」紀子さまが抱える“複数”の不安
週刊女性PRIME / 2024年7月4日 7時0分
-
2実刑判決で「頭が真っ白に」 法廷に両親の涙 静岡バス置き去り死
毎日新聞 / 2024年7月4日 20時58分
-
3「紅麹」サプリ問題、調査中の死亡事例81人に…先月末から5人増
読売新聞 / 2024年7月4日 20時59分
-
4新潟上越市でマンホール点検中の男性死亡 夕方になっても帰社せず捜索、マンホール内で意識不明の状態で発見
新潟日報 / 2024年7月4日 23時40分
-
5「魚民」の大量閉店は“大正解”か。運営企業「モンテローザ」の“稼ぐ力”は他社を圧倒
日刊SPA! / 2024年7月4日 8時53分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)