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米中など大国に立ちはだかる「非国家アクター」 米中を一時休戦させた理由

東洋経済オンライン / 2024年2月14日 9時0分

2024年2月10日、イエメン・サヌアのアル・シャアブ・モスクで、アメリカとイギリスの空爆で死亡したイエメンのフーシ派戦闘員の棺を運んでいる(写真・Mohammed Hamoud/Getty Images)

足かけ4年に及ぶコロナ禍のトンネルを抜けると、国家を基礎にしてきた世界秩序の枠組みは大きく変化していた。2023年は、ほぼ1世紀にわたって世界を支配してきたアメリカの衰退が顕在化し民主価値観も神通力を失い、新興・途上国のグローバルサウス諸国が新たな主人公に躍り出る年になった。

国家という既成アクターに加え、GAFAやアリババ、宇宙産業を支配するイーロン・マスク氏など巨大ITプラットフォーマーが、国家に匹敵する役割を果たし始め、中東ではイスラム組織ハマス、フーシなど非国家主体が、衰退帝国アメリカの存在を脅かす。

アメリカ一極支配の40年の変化

アメリカ一極支配の消長を1980年台初めから駆け足で振り返ってみよう。レーガン政権とサッチャー英首相が主導した新自由主義経済は、冷戦後の世界でグローバル化とIT革命の追い風を受け、国境の壁を越えヒト、モノ、カネの移動を自由化、グローバル企業を中心に国家間と国家内部に弱肉強食の世界を作り出した。

しかし2008年のリーマンショックによって、金融工学を使った「エンドレス」な需要喚起を狙った金融資本主義は大きな壁にぶち当たった。危機対応で手を差し伸べたのが中国だ。4兆円人民元の資金を市場に放出し世界経済を下支えした。対テロ戦争と金融危機の対応で、米中協調時代に入るかに見えた。

だが米中協調は長続きしない。第2期オバマ政権はアジアに軸足を置く政策に転換。中国の経済・軍事力の追い上げが次第に可視化されると、「アメリカファースト」を掲げるトランプ政権は、対中経済戦争を世界戦略の中心に据え、バイデン政権は台湾カードを使った対中軍事抑止政策を最優先した。これが40年のアメリカ一極支配の流れである。

世界秩序はこの後新たなステージに入る。それを画したのがロシアのウクライナ侵攻だった。アメリカとヨーロッパはロシアと中国という権威主義国家への反撃に転じたものの、2023年10月には今度はハマスによるイスラエル電撃攻撃によって、バイデン政権は「二正面作戦」を迫られることになった。

イスラエルによるガザ攻撃が苛烈になると、アメリカ国内でも若者を中心にイスラエルへのコントロールを失ったバイデン大統領への反感が強まり、ただでさえ劣勢だった大統領選にも黄信号がともった。そこでバイデン氏が助けを求めたのが、何と「主要敵」中国だった。

多くの西側メディアは注目していないが、2023年11月15日にサンフランシスコで行われたバイデン大統領と習近平・中国国家主席の首脳会談の成果は、新ステージで需要な意味を持つ。会談はバイデン氏側の強い要請で開かれ、習氏を破格の待遇でもてなした。

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