米中など大国に立ちはだかる「非国家アクター」 米中を一時休戦させた理由
東洋経済オンライン / 2024年2月14日 9時0分
筆者は会談の最大の成果は、台湾を争点とする「米中戦争」を、大統領選挙まで「一時休戦」することで暗黙の合意に達したとみている。
米中が一時休戦
バイデン政権が「一時休戦」を求めるのは、「二正面作戦」に加え、中国との衝突という「三正面作戦」に対応できないためだ。会談では衝突回避の具体的措置として、米中国防当局間のハイレベル会合の再開などで合意した。
これに基づき、アメリカ軍制服組トップのブラウン統合参謀本部議長と中国軍の劉振立統合参謀部参謀長は12月21日、オンライン協議を行った。
さらにヨルダンのアメリカ軍基地が攻撃され3人のアメリカ兵が死亡、イエメンの反政府武装組織フーシ派が紅海を航行する商船を攻撃すると、アメリカは報復攻撃に先立ち外交トップのサリバン大統領補佐官をタイに派遣、王毅外相と足かけ2日12時間にわたって会談させ、中国のイランへの影響力行使を要請した。
王毅外相の回答は明らかではないが、中国外交関係者は、紅海の武力攻撃では中国商船にも影響が出ているため、イランに対しフーシ派への自制を求める可能性に言及した。
ちょうど1年前、王毅外相の仲介工作で、サウジアラビアとイランが関係正常化にこぎつけて以来、中東における中国の影響力は飛躍的に高まり、アメリカは中東でも中国との事前のすり合わせ抜きには、軍事行動に出られなくなった。
バイデン政権はウクライナでも劣勢に立たされている。アメリカを含む西側諸国の支援疲れに加え、ゼレンスキー大統領と軍部の内部矛盾が露呈し、ロシアに好ましい局面が開かれつつある。二正面での苦戦こそバイデン氏が中国に助力を求める背景だ。
アメリカの一極支配を支えてきた民主など「普遍的価値」イデオロギーも神通力を失っている。ロシアのウクライナ侵攻を非難する国連決議案に多くのグローバルサウス諸国は賛成せず棄権に回った。
アメリカが言う「民主」「人権」圧力とは、アメリカにとって都合のいい「二枚舌」であることを彼らは見抜いているからだ。多くのグローバルサウス諸国は、民主イデオロギーとは無縁の権威主義国家だから「民主カード」は利かない。
プラットフォーマーが世界を変える
中国との一時停戦は「国家間」の利益調整であり、旧来型世界秩序を争うゲームである。
だがコロナ後に顕在化したのは、国家というアクター(主体)の力を超えるまでになった新しい非国家アクターとして「Google」や「Apple」などGAFAや電子商取引で急成長した中国の「アリババ」グループ、イーロン・マスク氏のプラットフォーマーの台頭だ。台湾積体電路製造(TSMC)も「虚構国家」台湾の存在を超える、非国家主体と言えるかもしれない。
この記事に関連するニュース
-
中国とロシア、対米欧で連携強化 プーチン氏「史上最良」
共同通信 / 2024年7月4日 5時18分
-
バイデン氏討論会の「衝撃波」 中露や北朝鮮などが挑発に出る危険も浮上 米専門家
産経ニュース / 2024年7月3日 17時38分
-
「上海協力機構」が首脳会議 ベラルーシを正式加盟へ 中露、非欧米諸国の結束狙う
産経ニュース / 2024年7月3日 12時27分
-
中国主席、中央アジア歴訪へ=国際会議でプーチン氏と会談
時事通信 / 2024年6月30日 17時23分
-
「東と西、南と北の架け橋へ」地政学上の鍵を握るサウジアラビアが目指す「サウジ・ファースト」の論理
ニューズウィーク日本版 / 2024年6月21日 14時33分
ランキング
-
1NYで人脈構築の小室圭さん、対照的な生活の眞子さんは「ほとんど外出せず」紀子さまが抱える“複数”の不安
週刊女性PRIME / 2024年7月4日 7時0分
-
2実刑判決で「頭が真っ白に」 法廷に両親の涙 静岡バス置き去り死
毎日新聞 / 2024年7月4日 20時58分
-
3「紅麹」サプリ問題、調査中の死亡事例81人に…先月末から5人増
読売新聞 / 2024年7月4日 20時59分
-
4新潟上越市でマンホール点検中の男性死亡 夕方になっても帰社せず捜索、マンホール内で意識不明の状態で発見
新潟日報 / 2024年7月4日 23時40分
-
5「魚民」の大量閉店は“大正解”か。運営企業「モンテローザ」の“稼ぐ力”は他社を圧倒
日刊SPA! / 2024年7月4日 8時53分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)