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米中など大国に立ちはだかる「非国家アクター」 米中を一時休戦させた理由

東洋経済オンライン / 2024年2月14日 9時0分

中国当局は3年前、「アリババ」などを独占禁止法で締め付けを強化した。西側メディアは習近平氏とアリババ創始者のジャック・マー氏との個人的確執に焦点をあて、生産性の高い民営企業を軽視し、国有企業への待遇を厚くする「国進民退」の表れと批判した。

しかし実際は、プラットフォーマーが巨大な力を持ち、これまで国家が管理してきた金融や経済世界で、国家より大きな力を持ちかねないのを恐れたからだった。社会主義理論で言えば「社会主義初級段階」にある中国が、共産主義段階に発展する前に「国家消滅」(マルクス)しては困るのだ。その前に「偉大な中華民族の復興」を成し遂げるのが習氏の段階発展戦略だ。

欧米各国もプラットフォーマーに対する国家の管理と規制を強めつつあるが、自由主義経済という「建前」に加え、法的規制という技術的問題に直面しなかなか進まない。この領域における国家と非国家主体の綱引きと確執はしばらく続くだろう。

その答えが出ないうちに、ハマスとフーシという暴力装置をバックに持つ非国家主体の登場でアメリカは足を引っ張られている。

中東では「タリバン」や「イスラム国」などの非国家アクターは存在した。しかし今や衰退した超大国だけでは抑えは利かず、中国に助力を求めざるをえないのが実情だ。

国家を主体にする世界秩序はどう変化するのだろう。グローバルサウスの代表的国際組織のBRICSは2024年から10カ国に拡大、中国はBRICSを新しい外交主舞台として重視する。アメリカンスタンダードを実現するためのイデオロギーだった「民主」はある種の「国際公共財」だった。

グローバルサウス諸国は「公共財」抜きに、それぞれ自国利益を最重視するエゴイズムに走る可能性があり、近隣諸国との摩擦が地域紛争多発の恐れを秘めている。西側が「世界最大の民主主義国家」と持ち上げるインドは、ナレンドラ・モディ首相の下で2023年はG20議長国を務め、国名を「バーラト」と表記した。

ヒンズー・ナショナリズムを原動力に「帝国」再生を目指す姿勢が次第に鮮明となり、「普遍的価値」との摩擦が顕在化するだろう。習氏は最近、外交政策として「人類運命共同体」を強調しているが、これを「きれいごと」と受け止めるべきではない。

習近平の「人類運命共同体」外交の狙い

習はポスト「普遍的価値」喪失の空白期を埋めるため、新たな「国際公共財」として、地球温暖化対策、対テロ、麻薬対策、核不使用などをボトムラインとする共通利益にし、国家間関係は内政不干渉、武力不行使など「平和5原則」によって処理しようする意図からである。

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