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「能天気な人」と誤解されてしまう危ういクセ 「人とは笑顔で接する」が常に正解とは限らない

東洋経済オンライン / 2024年2月16日 7時0分

(写真:maruco/PIXTA)

さまざまな研究から、ポジティブな人は病気にかかりにくく、仲間に恵まれ、社会的に成功しやすいことがわかっています。一方、状況にそぐわないポジティブな姿勢は能天気、何も考えていない人という印象を周りに与え、対人関係に悪影響を与えかねません。

そこで本稿では、感情と表情の専門家として、セミナー等で自分の想いを正しく伝えるコミュニケーション法を伝えている筆者の知見から、TPOに合った印象を醸し出し、適切に行動するヒントを紹介したいと思います。

逮捕されているのに笑顔、叱られているのに笑顔の人

数年前、某有名人が薬物違反で逮捕されました。車両で連行される際、彼は、軽く口角を上げ、笑顔に見える表情をしていたことから、メディアでさまざまな解釈がなされていました。彼に近しい人物によれば、「カメラを向けられると自然に笑顔になってしまうのです。反省していないわけではないのです」といったことを述べていました。

本当にそうでしょうか? 

感情の強さと表情の強さは相関しており、自身が最も強く抱く感情が表情として生じます。カメラを向けられると自然に笑顔になるクセを持っていたとしても、逮捕されるという異常事態を重くとらえていれば、恥や罪悪感のほうが前面に生じるのが普通です。それでもクセのほうが強く表情に生じるというなら、例えば、葬儀参列中にカメラを向けられても、彼の顔には笑顔が生じるのでしょうか。

別の可能性として、ネガティブな事態から自身の心を守るために笑顔になっていた、とも考えられます。例えば、会社で上司に叱られている職員が、半笑いしているのを見たことがあるかもしれません。これは心の防衛機能の一種で、ネガティブな事態に直面したとき、口角を引き上げポジティブな感情を作ろうとするのです。笑顔を作ることで幸福感情が醸成され、落ち込み過ぎることへのストッパーとなるのです。

いずれにしても、TPOに合っていません。

対人関係において笑顔をデフォルトと考えることで、笑顔がクセになる、笑顔が適切ではない場面でも笑顔で対応してしまうことは、日常生活やビジネスの場面でまま目にします。こうした笑顔は他者に誤解を与えかねません。ではどうしたらよいのでしょうか?

ポイントは、言動一致です。自身の話す言葉と表情を一致させる。例えば、「申し訳ない」という言葉なら、悲しみ表情や恥、罪悪感表情で伝えるのが適当でしょう。

接客時、「謝罪」を笑顔で伝えてしまうから、「本当に申し訳ないと思っている?」と疑問に思われるのです。某食品会社の社長や昨今の裏金議員のように、謝罪会見を怒り表情で伝えてしまうから、「反省してない!」と炎上するのです。

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