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「セクシー田中さん」報道で多発する意外な勘違い 現在のドラマは本当に漫画原作ばかりなのか?

東洋経済オンライン / 2024年2月16日 16時0分

実際、民放各局はオリジナルに力を入れていて、たとえば業界トップの歴史と実績を誇るTBSの「日曜劇場」(21時)はほぼオリジナルですし、昨春に新設されたばかりのテレビ朝日系・日曜22時のドラマ枠(ABCテレビ制作)は4作すべてオリジナル。その他でも、フジテレビ系の月曜21時、テレビ朝日系の火曜21時なども、オリジナルメインで制作する主要ドラマ枠が増えているのです。

なぜ今、民放各局はオリジナルに注力し、その背景にはどんな理由があるのでしょうか。

IPビジネスの肝となるオリジナル

その最たる理由は収益性を高めるため。デバイスの発達や視聴習慣の変化などで放送収入の減少が避けられない中、それを補うものとみられているのが配信収入であることはすでに周知の事実でしょう。

無料配信での動画広告、自局系動画配信サービスでの有料会員獲得、海外への配信などで収入を得ていくことが求められ、なかでもドラマは最大の稼ぎ頭。事実、TVerなどの配信再生数ランキングではドラマが上位を独占し続けていますし、スポンサーが好む若年層の配信視聴が多いことも民放各局が注力する理由の1つです。

その点、オリジナルは原作ドラマ化のような脚色の制限がなく、「物語や登場人物をそれらの収入を得やすいものに最適化できる」のが強み。さらに、ネタバレがないため考察が盛り上がり、伏線や小ネタを探す楽しさを盛り込めるなど、ネット上の反響を狙いやすいなどのメリットがあります。

加えて続編、シリーズ化、映画化、グッズ展開、イベント集客、海外販売などの収益化がしやすいこともオリジナルが重視される理由の1つ。つまり民放各局の間でIP(知的財産)ビジネスを進める上でオリジナルドラマの重要度が高まっているのです。

たとえば昨夏に大きな反響を呼んだ「VIVANT」(TBS系)は福澤克雄氏が演出だけでなく原作から手がけたオリジナルであり、放送に限らず配信、グッズ、イベント、ツアー、さらに続編の含みなど、さまざまな形で収益化して業界内を驚かせました。

ここまで書いてきたようにゴールデン・プライム帯で放送される主要作はオリジナルが主流であり、局をあげた力作ほどその傾向が強くなります。しかし、オリジナルを書ける脚本家がいなければ収益化はままなりません。

だからこそ民放各局は脚本家の発掘・育成に力を入れはじめています。これまでシナリオコンクールと言えば「フジテレビヤングシナリオ大賞」が最もメジャーであり、多くの人気脚本家を輩出してきました。

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