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萎縮させられる「日本のエンタメ」が復活するカギ ドラマ「不適切にもほどがある」で痛感する現在地

東洋経済オンライン / 2024年2月16日 15時30分

TBS系列で始まったドラマ「不適切にもほどがある!」が話題となっているが・・・(画像:TBS番組公式ホームページ)

TBS系列で始まったドラマ「不適切にもほどがある!」が話題だ。1986年を生きる男性主人公が令和の世界に紛れ込むストーリーに、昭和と令和のギャップを楽しむ人が続出。放送3回目の10日土曜日にも番組名がXのトレンドに入るなど、じわじわ人気が広がっている。

1986年と2024年では時代背景もコンプライアンス意識もまるで違う。番組内では、

「この作品には、不適切な台詞や喫煙シーンが含まれています」

「時代による言語表現や文化・風俗の変遷を描く本ドラマの特性に鑑み、1986年当時の表現を敢えて使用しています」

といった注釈テロップがたびたび登場。さらにミュージカル形式に仕立てたりして、登場人物たちの“不適切な言動”への視聴者からの批判を回避している。この用意周到さ自体も、エンターテインメントとしての面白さを増幅させている。

「守り」に入らざるをえないエンタメ

ここで改めて痛感させられるのが、制約がどんどん増える地上波放送における表現の難しさだ。

振り返れば昨年は、日本のエンターテインメントが衰退するのではと危惧されるような事件の連続だった。

2023年に故ジャニー喜多川氏の性加害が国内外を揺るがす大問題となり、その後、宝塚歌劇団員のいじめによる自殺疑惑、松本人志と後輩芸人による性加害疑惑など、相次いで芸能界をスキャンダルが襲っている。芸能界に対する風当たりが強まる一方、メディア報道の激化やコンプライアンスを重視する風潮がかつてなく強まっている。

こうした時代の潮流の中で、日本のエンターテインメント業界はどう変わっていくのだろうか。今回の記事ではそれについて考察してみたい。

昨年から今年にかけて顕在化した一連の不祥事は、一芸能人やプロデューサーといった個人が起こした問題ではなく、芸能事務所のマネジメント、さらには芸能界全体の構造的な問題として捉えられている。

ジャニー喜多川の性加害では、所属タレントはCMとテレビ番組出演の大半を失ったのみならず、グループ名や舞台演出まで変更されるに至っている。宝塚歌劇団は、団員の自殺があった宙組の公演だけでなく、110周年記念行事も中止。松本人志の性加害疑惑においては、松本人志は活動休止を宣言、出演番組、冠番組がテレビから姿を消してしまっている。関与していたとされる後輩芸人も活動の場を失っている。

エンタメの衰退をもたらす2つの懸念点

芸能界が不祥事に対して厳しい対応を取り始めたことに対して、週刊誌の報道の行きすぎや、報道を一方的に信じて判断が下されてしまうこと、疑惑の段階でタレントの出演機会を奪ってしまうことに対する懸念の声も上がりはじめている。

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