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借金9億円を返済した2代目社長のすごい手腕 アウェーの中で社内改革を進めた工夫とは

東洋経済オンライン / 2024年2月18日 18時30分

会社の場合、社歴が長くなってくると、もう辞めてしまった社員にしかわからないような費用がたくさん垂れ流されているものです。それがいつのまにか聖域になってしまって、誰も手をつけてはいけないものになってしまっていることもあります。

そうしたアンタッチャブルなものを「聖域なき見直し」をして洗い出していったのです。

当時の社内でよく飛び交っていた言葉が次の4つです。

「やっても無駄」

「昔は良かった」

「今までこうやってきたから……」

「一発ヒットさえすれば……」

私が借金返済に動き始めたころ、社員は冷ややかに見ていました。

「そんなことは俺たちがずっと昔にやったけれど、無駄だった」

「慎次郎が来て、いろんなことが締め付けられて会社がギスギスしている。昔のほうがよかった」という声も聞こえてきていました。

経理ではこんなこともよくありました。

まだそのころは手書きの作業が多い時代で、同じ内容の請求書を何枚も一から手書きで書いているのです。「なぜ同じ請求書をいくつも書くの?」と聞くと、「いままでそうやってきたから」というのです。

当時はWindowsXPが登場してしばらく経っており、多くの会社が見積書や請求書など文書をどんどんデジタル化していました。先方からの文書もデータでのやり取りが増えてきていたのです。

私はおかしいと思いました。X社にはx、Y社にはy、Z社にはzの伝票を書かないといけないというのならまだわかります。けれど、内容が同じであれば、パソコンで請求先だけ変えればいいことです。

私がおかしいと思うことを指摘していくと、ほとんどの場合「以前からこうしてきたから」という言葉が社員から返ってきました。これは何十年も続いている会社にはよくあることです。

こういうときには、私は「目的は何?」と聞いて、相手が答えたら「その目的はこの方法でも達成できるよね?」と話して改革していきました。

でも、最初はやり方を変えることをみんな嫌がります。やり方を変えると、新しい方法を覚えなければならず、手間がかかるし、面倒だからです。

成功体験が改革の足かせになることも

そういうときは先代の社長の力を借りていました。例えば、こういう感じです。

昔からいる年配の女性の経理部員がどうしてもやり方を変えることに同意しません。そこで私は策を練りました。

経理部長が先代から厳しめに怒られている場面をつくります。それを黙って隣でその女性の経理部員に聞いてもらいます。最後に経理部長が「今度からこういうふうにやるから、いいね?」というと、素直に「わかりました」と言うのです。

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