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借金9億円を返済した2代目社長のすごい手腕 アウェーの中で社内改革を進めた工夫とは

東洋経済オンライン / 2024年2月18日 18時30分

経理部員は自分が怒られていないからこそやらないわけにいかなくなるのです。落としどころをつくっておいて、そちらへ誘導していくわけです。

女性のベテラン社員たちにはこの方法をよくやりました。彼女たちはダイレクトに怒られるとプライドがあるから従わないけれど、人が怒られているのを見ると申し訳ないと思うようです。

私と先代と経理部長はいつも一緒に昼食を食べて、そんな作戦会議をしていて、経理部長にはよく怒られ役をしてもらっていました。

一発当てれば返せるなんていう話になったときには、「そんなの小学校の運動会の一等賞みたいなもの。そんなセピア色の写真を大事にしていてもダメでしょ。今は撮った瞬間にカラー写真で出てくる時代なんだから」とよく言っていました。私は、昔の栄光にすがっているのは、かっこ悪いと思っているのです。

過去の成功体験が忘れられない

一度成功を手に入れると、「成功の囚人」になるといいます。成功するとそれが忘れられず、同じやり方ばかり選択してしまいます。そのほうがラクだからです。

でも、時代は流れるから成功も長くは続きません。それでも成功が忘れられないでいると、新しいやり方を採用できなくなっていきます。自分から牢屋に入っていって出ようともしない。扉は空いているのに、です。

過去に一瞬儲かった時期があるので、その経験が忘れられないのでしょう。ただ、それも一時的なもので、大きな現場は手間がかかるので人件費もかさんでいたでしょうから、利益としてはそれほど残らなかったはずです。

つまり、売り上げが一貫してそれなりにあったのですが、どんぶり勘定になっていたために高コスト体質になっていたのです。だから利益が残らず、借金だけが増えていました。贅肉ばかりついていたから、筋肉質なものに体質改善しようというのが、私が行った改革でした。

私たちのように改革をすればぐっとよくなる会社は多いと思います。それなのに実行しないまま会社が停滞、衰退している。やればできるのに、やらないのはなぜか。それは、「ズルい大人だから」だと私は思っています。

大人はすぐに横文字を使って、難しい言い回しをして、できない理由を正当化しようとします。私は、それはズルいことだと子どものころからずっと思っていました。

ズルい大人になるな、現実を直視しろ

私は社員にも問いますし、自分にもこう問いかけます。

「できたほうがいいのか、できないほうがいいのか」

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