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EU版iPhoneの「退化」を日本も無視できない理由 DMA対応でアプリストアなど開放、リスクは増大

東洋経済オンライン / 2024年2月27日 11時0分

100万以上のダウンロードがあるアプリは、100万を超えたダウンロード数に対して年に1度、0.5ユーロの手数料がかかる。なお、その年次を通して何度バージョンアップを行っても、ユーザーが再ダウンロードを繰り返しても追加料金は発生しない。1ユーザーが異なるデバイスで複数のダウンロードを行っても同じだ。

筆者はかねて、アプリストアの自由化は技術的な後退だと指摘してきたが、決済手段に関しては自由に選べたほうがいいという立場だった。その背景には、手数料に潜むコストの内訳が不明だったということもある。

しかし決済手数料3%という数字を考えると、他の決済手段に置き換えたとしても、これよりも安価になることはないはずだ。

これはCTFに関しても言える。アプリを大量配布している少数のデベロッパーに対し、そのシステムを維持、メンテナンスするためのコスト負担を求めているだけと考えるならば妥当性はある。

したがって焦点は、17%あるいは10%の基本手数料が妥当なのかに絞られる。この設定割合は代替アプリストアと異なることが予想されるが、 はたして代替ストアの手数料とサービスの品質を比較したときに、妥当性があるかどうかという議論になるだろう。

裁判で争いとなっているエピックゲームズのFortniteなら、ユーザーは喜んで代替アプリストアと代替決済サービスを選ぶかもしれない。彼らの規模ならば、自社専用のアプリストアを開発してもお釣りが来るだろう。

変更による受益者は極めて少ない

しかしスマートフォン市場はゲーム業界だけのものではない。

DMAに対応したiOS 17.4以降の仕様を精査した率直な感想は、“こんなことのために、マルウェアから逃れることができていたパーソナルコンピュータを危険に晒すのか?”というものだ。

DMA対応版のiOSと、それを取り巻く数字が示していることは、この変更における受益者が極めて少ない一方、リスクにさらされるユーザーは極めて多いということである。

いったい誰のために、アプリストア、ブラウザエンジン、決済手段を自由化するのか。日本政府には、EU向けのiPhoneで何が起きるかを注視したうえで、的確な判断が求められる。

本田 雅一:ITジャーナリスト

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