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2代目社長「社員は敵でなければよい」の真意 先代についてきたベテラン社員との信頼の築き方

東洋経済オンライン / 2024年2月28日 17時0分

会社改革をするときには自分と共闘してくれる人をいかに増やすかが肝だと私は思っています。

私は2代目で、生まれたときにはすでに会社はできあがっていましたから、ゼロから基礎をつくっているわけではありません。ある意味で部外者です。だからこそ客観的に会社を見ることができ、無駄や非効率なやり方に気づくことができました。

最初はすべての部署をまわって、表面的にではあっても広く浅く、すべての部署のことを把握し、同時に人間関係を構築し、変革する下地をつくっていきました。

味方はすぐにはできないから、敵をなるべくつくらないようにしました。

例えば、借金返済時の経費削減策として仕入れ先の見直しを行ったとき、支払いが毎月500万円かかっていたものが、300万円になりました。これで200万円浮きますが、波があるから150万円と見積もりました。「ざっくり計算」をするときには弱気な数字にするのが鉄則です。

毎月150万円返済できるのは大きい。しかし、そうはしません。

「150万円浮いたと思ってそのうち50万円を僕にくれない?」といって経理と交渉しました。

「人とモノを分けるときには相手に多い方を渡せ」という先代の教えを実践したのです。それなら相手も「まあいいか」と承諾しやすくなります。

150万円をそのまま取り上げたのでは、「これでラクになる」と思った経理はおもしろくありません。だから、多くを経理に還元することにして、「改革を進めれば経理がどんどんラクになるのだ」という道をつくっていったのです。この流れが理解できたら、少なくとも経理は私に対して邪魔はしないでおこうと思うはずです。

パソコンを買い替えるときには経理部のものから新しくするようにしました。しかも、私が一連の改革の中で自ら稼いだお金から出すことにして、経理には「自分たちが管理する会社のお金は出さなくていいよ」ということにしました。

すると、経理部はその恩恵を最初に実感する。するとすぐには味方にはならないけれど、邪魔はしないようになるのです。

どんなに会社にいいことをしようと思って動いても、「わかりました、ついていきます!」なんてドラマのようにきれいなストーリーにはなりません。しかし、敵にさえならなければ、「手伝いはしないけど、やりたいなら勝手にやってれば」になっていく。私はそれなら十分と思っていました。

変革しきれない会社は実行が甘い

信頼関係ができあがったところで、さまざまな施策を打ち出して徐々に変革していきました。

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