推薦入試が5割で「一般入試枠が減少」へのギモン 何歳からでも大学で学べる機会が減る危機
東洋経済オンライン / 2024年2月29日 11時0分
かつての大学受験は、「一般入試」で大学に入学することが当たり前だった。「いい学歴をつけると、いい仕事につける」と信じて人々は予備校に通い、過酷な受験戦争が繰り広げられた。
【図表】推薦入試合格者と、一般入試合格者の割合(2022年度データ)
浪人で大学に進学することも珍しくなく、「現役・偶然 一浪・当然 二浪・平然」などと呼ばれていたほどである。ちなみに、筆者も偏差値40の商業高校、年収200万円世帯から9浪して早稲田大学に入学した、浪人経験者だ。
しかし、現在はがらりと様相が変わった。浪人をして大学を受ける人は20年前と比べて2分の1近くまで減り、「浪人するよりも、現役で受かった大学に行く時代」が到来した。
こうした時代の流れとともに増加したのが、評定平均、書類、小論文、面接などの各要素から、多面的・総合的に評価・判断する「推薦入試」である。
現在、各大学が独自の評価軸で行っている推薦入試は、「経済的・地域的格差を縮める役割を果たしている」との一定の評価も下されているが、そこには見落とされている課題も存在する。
推薦入試の入学者数がほぼ半分に
2023年に文部科学省があるデータを発表し、受験業界に衝撃が走った。
文部科学省がAO入試(推薦入試の1つ)の調査を始めたのは2000年度。当時、まだ一般入試で大学に入学する学生は全体の65.8%であり、多数派だった。しかしそれから20年以上が経過して、2022年度調査では一般選抜(旧:一般入試)入学者は49.7%となり、推薦入試のほうが上回ったのだ。
ちなみに「推薦入試」入学者50.3%の内訳は、志望理由書や面接、小論文などで受験生を選抜する「総合型選抜(旧:AO入試)」が19.3%、大学側が高校に推薦枠を用意して大学の面接に進む指定校制推薦と、評定平均や書類、小論文に加えて学校の科目も課される場合もある公募制推薦からなる「学校推薦型選抜(旧:推薦入試)」が31.0%だ。
※外部配信先では画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください
この傾向は加速し、今後はもはや「推薦入試」のほうが”一般的な”受験になっていくと考えられている。
なぜこうした選抜方法が主流になってきたのだろうか。また、それによってどんな利点・問題点が生じるのだろうか。
※なお、この記事では便宜上、一般選抜を「一般入試」、総合型選抜・学校推薦型選抜を「推薦入試」とする。
推薦への批判のいくつかのパターン
この記事に関連するニュース
-
「1浪早大中退」学歴捨てた彼が歩む"VTuber"の道 予備校の寮生活を通して人生観が変わった
東洋経済オンライン / 2024年4月28日 7時0分
-
子供の推薦入試を「否定的」に見る親に欠けた視点 推薦入試導入した意図、どのように対策する?
東洋経済オンライン / 2024年4月12日 12時30分
-
見学受付中! 小論文対策に強い「城南推薦塾」が、3月より「慶應義塾大学 文学部 自主応募制による推薦入試 対策コース」を開講しました。
PR TIMES / 2024年4月10日 17時15分
-
「大学付属校」には"欠点"がある…教育ジャーナリストが「想定以上のランクも狙える」と勧める進学ルート
プレジデントオンライン / 2024年4月9日 9時15分
-
「京大3浪4留」それでも人生肯定する彼女の勇気 高校中退し高卒認定受けて受験、今の話も聞く
東洋経済オンライン / 2024年4月7日 7時0分
ランキング
-
1スバル、山崎製パン、キリン……相次ぐ“事故” 問題の根っこに何がある?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月24日 8時35分
-
2蹴飛ばされて全治1ヵ月の“腰椎圧迫骨折”。貯金4,000円・借金800万円の61歳DV夫の死で、妻が決断…じつは日本で増えている「死後離婚」の壮絶な実態【行政書士が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月27日 11時30分
-
3テスラ失速、マスク氏は活路を見出せるか?【播摩卓士の経済コラム】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年4月27日 14時0分
-
4「外車の車検」は高いのか 費用の相場や内訳…国産車と違いを比較
まいどなニュース / 2024年4月27日 8時2分
-
5祝日という"官製のみんな一斉休日"が日本人を苦しめる…精神科医警鐘「連休でストレスが増強される」本末転倒
プレジデントオンライン / 2024年4月27日 8時15分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください