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認知症の母が同じものを何度も買ってしまうワケ 認知症の「なぜ?」がわかり、介護が楽になる

東洋経済オンライン / 2024年3月2日 19時0分

認知症になった家族を思わず責めてしまいそうになったら、一度落ち着いて「なぜそうしたのか?」に思いを馳せてみてください(画像:『ボケ、のち晴れ 認知症の人とうまいこと生きるコツ』より/マンガ・中川いさみ)

認知症の症状は、お天気と同じで晴れたり曇ったり。でも、ちょっとした接し方のコツで、どんよりとした曇り空を晴れに変えることもできます。そのために必要なのは、認知症の人の心の動きを知ることだと、理学療法士の川畑智さんは言います。川畑さんの著作『ボケ、のち晴れ 認知症の人とうまいこと生きるコツ』より、認知症の人の心の中ののぞき方と、「晴れ」に通じる接し方のコツを、一部抜粋してお届けいたします。

目の前で泣き崩れた50代の息子

「そうか、オレのために買うてきたとですね……」

【画像】認知症になると同じ食材や食品で冷蔵庫がいっぱいになることがよくあります。思わずお母さんを責めてしまった男性に返ってきた答えは?

50代の山本さんは、そう言って私の前で泣き崩れました。

山本さんのお母さんは、そのとき80代。

同じものを何度も買ってしまうなど、物忘れの症状が目立ってきたため、息子の山本さんと一緒に私の教室を訪ねてくれました。

そこで、簡易的に認知機能を測れる「ブレイン・チェック」を試してみたところ、認知症の疑いがあるという結果になったのです。

認知症になると、記憶をつかさどる脳の海馬の衰えから記憶障害が起きます。

なにを買ったかわからなくなったり、あいまいになったりして、同じ食材や食品で冷蔵庫がいっぱいになることがよくあります。

「同じものを買う」といっても、買うものは人それぞれ。

卵や牛乳、ヨーグルトなど食品ばかりを買ってくる方もいますし、トイレットペーパーや石鹸などの日用品ばかりを買ってくる方もいます。

山本さんのお母さんが決まって買ってくるものは、魚の練りものでした。

山本さんはすでに実家を離れていて、お母さんは一人暮らしです。

山本さんは仕事が忙しく、お母さんの様子を見に行けるのは、月に1度程度。

帰省して冷蔵庫を開けるたび、かまぼこやちくわ、つみれなどの練りものがいくつも入っていて、しかも前見たときよりも増えている……。

そのうえ、奥のほうには、すでに大幅に賞味期限が切れているものもあり、どうしたものかと不安になった山本さん。2週間に1度くらいの頻度で実家に顔を出すよう頑張り、電話の回数も増やすように努力をしていました。

そんな中で、決定的だったのが、刺身事件だったといいます。

冷蔵庫の中で見た刺身の盛り合わせが、2週間ものあいだまったく手をつけられずにそのまま入っていたにもかかわらず、さらにまた新しい盛り合わせパックを購入して冷蔵庫に入れていたとのことでした。

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