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モバイルトイレ、NUKUMARU…トヨタの新たな挑戦 高齢者や障がい者、災害を「自分ごと」として

東洋経済オンライン / 2024年3月3日 11時0分

ツギココ利用者自身、またはその家族がパソコンなどを使って出発前にルートを設定するのが基本操作。移動中の現在位置は、家族がソフトウェア上で確認できる。

開発したトヨタ先進プロジェクト推進部では、ツギココを「かんたん操作の徒歩ナビ」と表現している。徒歩移動中は画面表示を消すため、いわゆる“歩きスマホ”のような状態にはならない設計としている。

トヨタがツギココの開発を通じてまとめた資料によれば、認知症の人は2020年時点で631万人おり、増加傾向が続く。認知症ほどではないが、記憶や注意力など認知機能が低下した状態である軽度認知障害(MCI)の診断を受ける人もいる。

こうした中、経済産業省では認知症官民協議会 認知症イノベーションアライアンスワーキンググループが、2023年2月に「認知症予防に関する民間サービスの開発・展開にあたっての提言」をまとめた。その中で、国として当事者参画型の開発を進める方針を示している。

トヨタはこのような国の動きを鑑み、経済産業省を通じて福岡市との繋がりを得て、同市内でツギココの実証試験を行うに至ったという。そして、実際に福岡市の利用者からはポジティブな意見が寄せられている。

ただし、ツギココが今後、どのような商流で社会実装されるのか、また保険や補償のあり方をはじめ、どのように事業化していくのかを考えると、トヨタには民間企業のパートナー、国、地方自治体などと連携した、さらに注意深い対応が求められるだろう。

「自分ごと」として捉える姿勢

トヨタのMobility for Allという考え方について、一般的には高齢者や障がい者に対応した、トヨタが言う「ウェルキャブ(福祉車両)」を思い浮かべる人がいるかもしれない。企業の社会貢献といったイメージである。

だが、実際にMobility for AllやRB活動に直接携わる、トヨタ関係者の声を聞いていると、企業から社会に対する「貢献」という捉え方ではなく、社会が変化していく中で「社会がこれからどうあってほしいか」という「1人の人間としての意識」をしっかり持っているように感じる。

今回、紹介した各製品担当部署の皆さんが、一様に「自分ごと」として製品やサービスについて熱く語ってくれたことが印象深い。

Mobility for Allの分野、社会実装に向けたバリアはたくさんある。そうしたバリアを「思い切って突き破る」のではなく、思いやりをもって「丁寧に一つひとつ取り除く」ことが「人にとって」、そして「社会にとって」大事なことだと感じる。

桃田 健史:ジャーナリスト

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