SNS多用する人に伝えたい、相手を傷つけない技術 文字によるコミュニケーションが難しい理由
東洋経済オンライン / 2024年3月3日 10時30分
ソーシャルメディアの利用が当たり前になりつつある昨今。時間や場所の制約なく誰とでも交流できる手軽さは魅力です。一方で読んでいる人を不快にしたり、傷つけたりすることもあります。今回はSNSを含むソーシャルメディア上で会話をする際に気をつけたいポイントを解説します。
本稿は、哲学者のピーター・ボゴジアン氏と文筆家・批評家のジェームズ・リンゼイ氏の共著『話が通じない相手と話をする方法――哲学者が教える不可能を可能にする対話術』より、一部抜粋・再構成のうえお届けします。
オンラインでの議論は「本当に必要な場合だけ」にする
科学的証拠にもとづく(エビデンス・ベイスト)会話へのアプローチや戦略が、対面でのやりとりに応用できることについては、様々な文献によって実証されている。
〔しかし、〕それがどの程度オンライン環境でも使えるかは、はっきりしていない。効果的な会話を多種多様なソーシャルメディアで行うにあたっては、確固たるエビデンスがない以上、次のことをまず強く勧めたい。
すなわち、オンラインで緊迫した問題について議論するのは、本当に必要な場合だけにすること(そもそもが本当に必要になる場合とはどういう状況なのかは想像し難いが)、そして〔オンラインで〕生産的に議論する方法についての確固たるエビデンスが見つかってからにする、ということだ。
ソーシャルメディアでの会話から得られるものは、皆無ではない(ストレスを発散して気分がよくなったりはするだろう)し、確かにいくつかの利点はあるだろう(リアルタイムで相手に反応しなくてもよい)。
ただ、それらを除けば、ソーシャルメディアはもともとただでさえ難しい議論というものを、さらに「ハードモード」にしてしまうものだ。分断を煽るような会話や挑発的な内容をソーシャルメディア上でシェアすることについて、一つだけはっきりしていることがある。
それは、〔人間〕関係を破壊し、〔すでにひどい状態にある〕ソーシャルメディアの害悪をさらに強めてしまうということにほかならない。
書き言葉は情報量が少なく、誤解を招くことも
種としての私たち人類は、対面での会話をできるように進化してきた。たいていの場合、相手の顔を見れば、口調やしぐさ、顔の表情から色々なことを簡単に読み取れる。
〔他方で、〕テキストでのやりとりではそういった重要なヒントがいっさい得られない。これらの標識がないことによる利益もあるだろうが、それよりも〔交わされる〕内容の深みが失われるという損害のほうがずっと大きい。
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