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台湾の日系自動車向け部品会社で強制労働の疑惑 トヨタ、日産、ホンダ、三菱はどう答えるのか

東洋経済オンライン / 2024年3月4日 7時30分

海外からの出稼ぎ労働者は誰もが、台湾での仕事のために人材紹介業者へ手数料を支払ったと語った。

ベトナム人労働者は、同国の最低賃金の2.5年分に相当する73万円以上を支払っていた。フィリピン人とインドネシア人労働者の支払い額は19万円ないし65万円だった。

「出稼ぎ労働者は長年にわたって、仕事を得るための費用を払わなければいけない」。取材に応じた人たちはそう語った。

彼らの多くは、紹介業者への支払いのために銀行や貸金業者から借金する必要がある。新しく来た労働者は今も借金返済のために働いている。

「私は台湾でも現地の紹介業者に手数料を払わなければなりません。毎月、みんなが支払っています」とトゥアンさんは語った。

取材に応じた全員が、台湾の紹介業者からも毎月サービス料を請求されていると述べた。しかし、誰一人としてサービスを受けていると感じてはいないという。彼らが支払うサービス料は、3年間の契約で基本給2カ月分に相当する。労働者の給与明細にこの手数料の記載はない。

労働者はまた、管理職による罰金や懲罰的行為についても説明してくれた。

寮の夜間の門限を破ったり、その他の規則に違反したりした場合、身分証明書が没収されるのだ。「お金を支払わないと、身分証明書を取り戻すことはできない」と、あるフィリピン人労働者は語った。

労働者が工場でミスをした場合には、罰金が科せられる。

「私たちが何かミスをすると、台湾の人材紹介業者に連絡が行きます。そして全員が事務所に招集され、マネージャーと人材紹介業者の前で犯したミスについて説明するよう求められる」とインドネシア人労働者は語った。「文句を言う勇気はありません。クビになれば、どうやって借金を返せるでしょうか」と、この労働者は厳しい立場をこう説明した。

仕事を得るために高い借金を背負った労働者は、過酷な就労条件に耐えねばならないと感じるようになるかもしれない。というのも、借金によって仕事に縛りつけられているからだ。

国際連合の専門機関である国際労働機関(ILO)によれば、これは債務拘束と呼ばれており、強制労働の重要な指標(またはリスク)とされている。取材対象者が経験した身分証明書の没収、脅迫、威嚇、そして脆弱性(弱い立場)の悪用も、強制労働に該当する可能性がある。

トゥアンさんとその同僚の状況は、台湾の出稼ぎ労働者の間では決して珍しいものではない。

彼らの多くが強制労働に巻き込まれる危険にさらされているのだ。海外の人材紹介業者が請求する高額の紹介料、現地の仲介業者が請求する避けられない手数料、パスポートの没収、職場変更に対する制約のほか、さらなる虐待に対するあらゆる固有の脆弱性が、国連機関や専門家、メディアによって長年にわたり広く報告されている。

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