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「伝説のエンジニア」が明かすエヌビディアの死角 ラピダスや孫正義氏の半導体戦略はどう見る?

東洋経済オンライン / 2024年3月4日 8時0分

――そのエヌビディアに、あなたがCEOを務めるテンストレントはAI半導体の新興企業として挑戦するわけですね。

挑戦なんかしないよ。エヌビディアと競争する必要なんかない。AI半導体の市場はまだまだ10年は飽和しない。この成長市場で、私たちは全然違うやり方でやるんだ。

エヌビディアであれどこであれ、巨大企業の目的はより高い株主利益を上げること。これに対して私たちはスタートアップだから、コンピューターをめぐる新たな技術と半導体を実現することが優先的なミッションだ。

たとえば私たちは、AIチップに書き込むソフトウェアをオープンソース化し、ユーザーに無償公開している。CPU技術をIPとしてライセンス提供もする。こんなことは、株主利益を重視する大企業にはできない。

AIの用途は本当に幅広く、無数の小規模なユーザーがいる。そのすべてがエヌビディアやインテルが提供する半導体に満足しているわけではない。私たちはこういった無数のユーザーに対し、AIを自由に使いこなせるコンピューター基盤を提供する。そのための半導体開発だ。

新しい技術や製品の価値を見極めるのはとても難しい。市場の変化は非常に速く、あるときに最強に見えた企業であっても簡単に地位を失い、新しいプレイヤーにとって代わられる。

――栄枯盛衰が激しい。

緩やかに衰退するか、突然消えるかの違いはあっても、あらゆる独占企業が消えた。そういう世界だ。

私たちは今、多忙を極めている。製品を出荷し、事業規模を本格的に拡大するフェーズだからだ。日本では今年、開発拠点を開く。エンジニアを採用中で、入居する不動産を物色しているところだ。開設時期はまだ言えない。

私自身は資金調達モードだ。日本の投資家とも会っているよ。

――将来的には上場しますか?それともOpenAI(マイクロソフトが出資)のように、ハイテクガリバーの傘下に入る?

上場するよ。2年後がターゲットだね。そのときには本当に大きな数字(時価総額)を出すつもりだ。

孫正義の野望は「金では実現できない」

――日本ではソフトバンクグループの孫正義氏がAI半導体のスタートアップを作ると報じられています。中東などから巨額の資金調達をするとか。

知っている。しかし実のところ新しい半導体を作るためにお金で解決できることは少ない。ある技術が巨額投資さえすれば掌握できるなら、それはもはや陳腐化した技術だ。そんな技術を使った事業には、巨額投資に見合う付加価値はない。

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