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「伝説のエンジニア」が明かすエヌビディアの死角 ラピダスや孫正義氏の半導体戦略はどう見る?

東洋経済オンライン / 2024年3月4日 8時0分

AIコンピューティングと半導体の技術は、これから10年で大きく変化する。そのインパクトは甚大で、インターネットがもたらした影響をも上回る。この激変局面でカギを握るのは、お金よりも人だ。

――人材が勝敗を左右する?

そうだ。チームは小さくていい。私がテスラで自動運転用の半導体を開発していたとき、チームはわずか50人ほどだった。むしろ小さい所帯のほうが私は好きだ。

大事なのは、リーダーに極めて明確な目標があること。その目標を何度も繰り返し、チームに説くこと。1人1人が何をすべきか心底理解させること。そのためには、真の専門知識が不可欠だ。

そして最も重要なのは、チーム全体のエネルギーを高め、全員が勝者のように振る舞うようにすることだ。これが難しい。人間は実に面白い。自分が勝者だと思えば勝つし、逆に負け犬気分ならひどい振る舞いをする。スポーツでは負け癖のついたチームは勝てないだろう?

私がアップルで働いていたときは、チームの誰もが「われわれは最高だ、われわれは勝者だ」と感じていたものだ。

――あなたがAMD時代に開発したCPUは、インテルから激しくシェアを奪いました。当時のインテルと言えば今のエヌビディアのように市場を支配する企業でしたが、どうやって弱点を見つけたのですか。

当時のインテルの開発チームは大きすぎて、製品はユーザーにとって複雑で制約の多いものになっていた。1000人のエンジニアがそれぞれ機能を追加したら、複雑な仕様になってしまう。何から何までお金をかけすぎた結果、高い製品が生まれていた。

支配的な立場に立った企業は、徐々に販売価格を上げて高いマージン(利益率)をほしいままにする。ある時点までは自然なことだが、いずれ多くの顧客が耐えかねて、代替品を望み始めることになる。そのときに私たち小さなチームは、顧客から要望やアドバイスを聞いて、新しい選択肢を提示したわけだ。

現在、エヌビディアのマージンは非常に高く、誰もが代替手段を求め始めている。こうなってくると、顧客はサプライヤー(半導体メーカー)に協力的ではなくなってくるんだよ。

――そしてエヌビディアは誰かに取って代わられる?

未来については何とも言えない。ただあの会社にとって一つ圧倒的に有利なのは、優れた創業者がまだ健在だということだ。

ラピダスへの懸念

――テンストレントはラピダスと協業しています。しかしラピダスについて、日本の半導体業界関係者の多くは懐疑的な目で見ています。あなたはラピダスが成功すると思いますか。

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