「AIカメラ」が切り拓く、スポーツの新たな明日 100人が見る試合を1万試合配信も
東洋経済オンライン / 2024年3月7日 19時0分
自動実況など、スポーツ中継におけるAIの導入は比較的進んでいるといわれるが、NTT西日本と朝日放送グループHDによる合弁会社「NTTSportict」は、限られたスタッフでも高品質な中継・配信を可能にするAIカメラによる新しいサービスを提案している。
通信の発達で広がる世界
国内スポーツ中継の最高峰の一つでもあるプロ野球(NPB)のテレビ中継。甲子園球場で行われる阪神タイガースの試合では10台近いカメラを駆使して撮影を行い、球場には中継車を出して映像のスイッチングやスローなどをオペレート。さらに放送局内では、スコアやカウント、選手名などのテロップ表示をサポートするスタッフがおり、それらを含めた中継に携わる人数は80~100人にも及ぶ。また、サッカーJリーグでもJ1では多いときには20台近くのカメラが、広いピッチをさまざまなアングルから狙っている──。
かつては「テレビやラジオの電波を使った放送」に限定されていたスポーツ中継は、通信の発達により、さまざまなプラットフォームで多種多様なジャンルのスポーツが配信されるようになりました。それこそYouTubeを扱う知識が少しでもあれば、一般の方でもスポーツの試合をリアルタイムで配信することができるようにもなりました。
2022年の統計では、サッカー、野球、バスケットボール、バレーボールの4競技を合計しただけでも、国内の競技人口は1000万人以上とみられており、アマチュアチームの数も10万以上あると言われます。仮に1チームが年間20試合したと計算しても、100万(10万×20÷2)もの試合が国内で行われていることになりますが、そのうち中継・配信されている試合は、多く見積もっても3割程度かなと思います。
つまり、映像化されていない試合は、この4競技だけでも70万試合以上はあるように思います。もちろん、プロの試合のように誰もが知っている選手が出ているわけでもなく、試合を見たいという需要自体は低いでしょう。
でも、その試合に出ている選手にとっては1試合1試合が映像として残るのならすごく嬉しいことだと思いますし、また現地観戦できなかった家族や関係者にとっては、なんとしても見たい試合もあるでしょう(私自身も、子どもが通う少年野球チームの指導者をしているのですが、フィードバックするために毎試合ビデオカメラで撮影しています。試合前は指導もあるので、バタバタしてしまうことが多く、撮影を失敗した経験も数知れず……)。
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