「AIカメラ」が切り拓く、スポーツの新たな明日 100人が見る試合を1万試合配信も
東洋経済オンライン / 2024年3月7日 19時0分
われわれが目指すAIカメラによるスポーツ中継の新たな世界像は、前述のものだけではありません。少子高齢化・人流の都市部への流出といった地域を取り巻く社会課題に対して、その解決の糸口として、大きな可能性を秘めているといわれる「地域スポーツ」。ただ一方で都市部と違い、地方ではスポーツカメラマンが潤沢にはいないケースもあります。
例えば野球であれば一つの球場で1日4試合あることも多いですが、それをすべて同じカメラマンがボールを追いながら撮影するのは肉体的に不可能だと思います。ただ、こういったケースでこそ“機械的”に疲れることなく撮影できるAIカメラの存在価値は高まり、より活躍してくれるのではないかと思っています。
実際に、秋田県大館市では昨年3月から地元のシンボリックな2施設(野球場と体育館)にAIカメラが導入されました。小学生からシニアの大会まで幅広い年齢層のアマチュア試合がライブ配信されており、地域活性に一役買っています。
また、ホッケーが盛んな島根県奥出雲町では、今年春から全国のホッケー場で初めてAIカメラが導入されることになりました。どちらの施設でも、AIカメラの導入により試合をライブ配信できるという「施設の優位性」を生み出したことで、新たな大会やスポーツ合宿を誘致するなど、人流の活性化にも貢献しています。
AIカメラで広がる「人とまちをつなぐ仕組み作り」
また、試合のライブ配信を通して地元企業のCMを流したり、地域のPR動画を流したり、あるいはふるさと納税サイトに誘引する動線を作ったりと、AIカメラが基軸となり、スポーツを通じての「人とまちをつなぐ仕組み作り」はどんどん広がっていくでしょうし、可能性はまだまだあると思っています。
アメリカでは高校の体育館に9000台以上ものAIカメラが導入されており、撮影された映像から高校生自身が自分のPR動画を作って、自ら売り込みをしているケースもあるそうです。スポーツの映像化を通して、人が繋がり、街が繋がり、選手の可能性がどんどん広がっていく。そういう未来をAIカメラとともに構築していければと思っています!
荒木 拓人:NTTSportict ビジネス開発部
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