「あたり前田の〜」「キムタク」耳に残る言葉の秘密 日本人の記憶に長くとどまる「3拍・4拍」の法則
東洋経済オンライン / 2024年3月9日 10時0分
▶「縁は異なもの/味なもの」……男と女の結びつきは不思議で面白い
▶「一富士二鷹/三なすび」……初夢に見ると縁起がよいとされるものを1位から順番に挙げている
▶「触らぬ神に/たたりなし」……関わり合わなければ、そもそも禍を受けることもない。余計なことに手出しはしないこと、という戒め
▶「亀の甲より/年の功」……年をとり積み重ねてきた経験は貴いものだ、の意。「コウ」の音が同じなので、「亀の甲より」と付けて覚えやすくしている
▶「終わりよければ/すべてよし」……途中のあれやこれより、物事は最後が肝心。結果さえよければそれでいい
余談ですが、NHKのテレビで『今夜も生でさだまさし』というタイトルの番組があるでしょう。
あれもまた「7拍・5拍」になっているので、より耳に残るのですね。
「言葉の生き残り力」に目を向けて
ちょっと前になりますが、21年の「egg流行語大賞」を取ったのは「きゃぱい」という言葉でした。
若い女の子たちが最も頻繁に使った言葉ということで、「キャパシティいっぱいいっぱい」を縮めての「きゃぱい」。
すなわち焦ったりして「テンパってる」状態を意味するのだと。
しかし、現在、この言葉は巷でどれほど使用されているでしょう?
「やばい」「エモい」「エグい」「ぴえん」「草」……などなど。
若い人の言葉は、機をとらえるのに敏感で、新しい言葉を作るのも巧みですが、それらは果たして将来の日本社会にいくつ残るのか、と考えると、正直言って心もとない気がしてなりません。
もちろん言葉は生き物ですから、旧い人々が馴染んできた言葉も、やがていつかは消えていってしまう可能性はあります。
でも、せめて現在、年配者が口にしているいろいろな言い回しについて、若い人たちに改めて関心をもってもらえたら、と思うのです。
ウイットに富んだたとえ、思わず頬が緩んでしまいそうなユーモア、日本人だからこそ味わえる日本語の奥深さを、ぜひ味わってみてほしいです。
若者は年季の入った言葉の妙に感心し、そして年配者は若者の言葉作りの軽やかさに着目する……。
そんな気持ちの交換こそが、ギャップ解決の近道になるのではないでしょうか。
若者言葉とシニア言葉。あたかも異国語のごとく、互いにスルーし合ったままでは、コミュニケーションの溝はますます深まるばかりなのですから。
【ことわざの4音節化の例/意味】
●「棚からボタモチ」→「棚ボタ」……何もしていないのに、思いもかけない幸運が舞い込んできた
●「駄目で元々」→「駄目元」……失敗するとは思うけれど、うまくいけばもうけもの、と考えて試みること
●「藪をつついて蛇を出す」→「やぶへび」……余計なことをしたばっかりに、思わぬ禍を招いてしまうこと
●「鴨がネギをしょってくる」→「鴨ネギ」……うまい話に、なんとさらにうまい話が重なってきた。ますますこちらの都合がよくなる展開に
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