日本の若者が結婚しなくなった「本当の理由」 若者の価値観変化ではなく「結婚のインフレ」だ
東洋経済オンライン / 2024年3月9日 12時30分
メディアは、よく「若者の恋愛離れ・結婚離れ」などと言います。昨今の婚姻数の減少および婚姻数の減少に伴う出生数の減少は、まるで若者の価値観が変遷したことが原因かのように言う有識者もいます。まるで、こうなったのは「若者の自己責任」であったかのように。しかし、それらはまったくの見当はずれの解釈です。
確かに、出生動向基本調査が経年で調査している若者の「一生結婚しない」という割合は年々増えています。同調査の報告書では、18~34歳を集計したものとなっていますが、それを20~39歳で再集計しても同様です。20~39歳としたのは、こちらの過去記事(参照→恋愛結婚の人は大概25歳で出会っている残酷現実)で解説したように、未婚男女の「恋愛結婚による結婚限界年齢」は男性40.0歳、女性37.6歳であることから、対象年齢を39歳まで拡大するためです。
「若者の結婚離れ」は本当なのか?
具体的に見ると、「一生結婚しない」割合は、男性は1992年の5%から2021年では20%へと4倍になりました。女性も、1992年の6%から2021年は17%へと3倍に増えています。結婚が可能な年齢帯において男女とも「一生結婚しない」という選択的非婚が増えているのですから、「これは若者の結婚離れ」と言ってよいだろうという理屈なのですが、果たしてそうでしょうか?
同調査では、「一年以内に結婚したい」と「まだ結婚したくない」という結婚意思の違いでも分けて集計していますが、前者を「結婚前向き派」、後者を「結婚後ろ向き派」とし、前述した「一生結婚しない」もあわせた「20~30代の結婚意識の長期推移」をグラフ化したものが以下になります。
結婚前向き派の割合は減っていない
これで見るとよくわかりますが、1992年から2021年にかけて、確かに「一生結婚しない」という選択的非婚割合は増えているのですが、かといって、「結婚したい」という結婚前向き派の割合が減っているわけではありません。
結婚前向き派の割合は、男性では、1992年43%から2021年44%まで、30年間41~45%の間でほぼ一定です。同じく女性も、1992年50%から2021年49%まで49~54%の間で推移しています。
1992年とはまだ世の中では皆婚の名残りがあった頃で、むしろ恋愛至上主義とすら言われていた頃です。その時代から現代にいたるまで、20~30代の男性の4割、女性の5割は、「結婚に前向き」な層として存在していたわけで、若者の結婚意欲が失われたからでも、価値観が変化したからでもありません。
この記事に関連するニュース
-
結婚できる高所得層・できない中間層の残酷格差 女性が求める男性の年収と実際の年収の乖離
東洋経済オンライン / 2024年5月11日 12時10分
-
日本は人口の5割が独身者の「超ソロ国家」になる…これから「ひとり暮らしの高齢者」が激増していく理由
プレジデントオンライン / 2024年4月29日 9時15分
-
パワーカップル世帯の動向…2023年で40万世帯、10年で2倍へ増加、子育て世帯が6割
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月28日 7時0分
-
娘が結婚を考えている30代の彼。正社員ではなく、年収「200万円」以下のようですが、生活していけるのでしょうか…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年4月27日 4時50分
-
子どもを育てた経験のない大人が激増している…「子持ち様はずるい」の批判が過熱する根本原因
プレジデントオンライン / 2024年4月26日 8時15分
ランキング
-
1ドライバー不足で修学旅行の貸切バス手配が突然キャンセルに 近畿日本ツーリストは謝罪「総動員して修学旅行の実施に努める」
ねとらぼ / 2024年5月17日 16時5分
-
2上川外相「うまずして」発言 SNSで「曲解」批判相次ぐ 専門家「状況を考慮する必要」
産経ニュース / 2024年5月19日 18時31分
-
3「ガラケーの使い方が分からない…」スマホ世代の新入社員が訪問先で“やらかした”大騒動
日刊SPA! / 2024年5月19日 15時54分
-
4白髪は禿げないのは本当? 目立たせないドライヤー活用法はあるのか?【プロに学ぶ「白髪染め」「白髪のぼかし」】
日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年5月20日 9時26分
-
5煮物だけじゃない!スーパーフード並みの栄養価「切り干し大根」の意外な食べ方
週刊女性PRIME / 2024年5月18日 8時0分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください