日本の若者が結婚しなくなった「本当の理由」 若者の価値観変化ではなく「結婚のインフレ」だ
東洋経済オンライン / 2024年3月9日 12時30分
見方を変えれば、皆婚時代でさえ結婚に前向きだったのは4~5割でしかなく、本人の明確な意思があろうとなかろうとその時代は「結婚できた」のです。むしろ結婚することはそれほど難易度の高いものではなかったと言えます。
現代の婚姻数が大幅に減少しているのは、個々人の意識の問題ではなく、結婚のハードルがあがったという構造の問題としてとらえるべきです。婚姻減は、「一生結婚しない」という選択的非婚が増えているからだけではなく、同時に、「結婚したいのにできない」という不本意未婚が増えているという事実が隠れています。
以前の記事(「不本意未婚」結婚したいのにできない若者の真実)でもご紹介しましたが、結婚を希望する未婚男女がどのくらいその希望を達成できたかの推移をみると、1990年代は男性で8割、女性はほぼ10割達成できていのに、2015~2019年においては、男女とも6割を切るようになっています。つまり、不本意未婚が4割以上に増えているということです。
年収という視点でデータを深掘りすると…
さらに深掘りして、年収別に20~30代男女の結婚を希望する未婚人口と実際に結婚した既婚人口との差を比較してみます。
出生動向基本調査には、年収別の結婚意思データがないため、2020年に私が独自に調査した未婚男性20~30代の年収別結婚前向き率のデータを2020年国勢調査の20~30代未既人口に掛け合わせて、「結婚に前向きな未婚人口」を算出し、既婚人口の年収別人口とどれくらい差があるのかをグラフ化しました。
結婚に前向きな未婚者が全員結婚できているわけではなく、特に男性に顕著ですが、年収500万円未満の層だけが、「結婚したいのに未婚のまま」となっていることがわかります。その差が最大になるのが年収300万円台の層で、未既婚関係なく20~30代全体からいえばまさに人口ボリュームの多い中間層の不本意未婚だけが増えているということになります。むしろ、年収500万円以上の男性は、特に「結婚したい」という意思がなくても「気が付いたら結婚していた」ということにもなります。
女性も同様で、年収200~400万円の中間層だけがマイナスとなっていますが、女性の場合、結婚または妊娠・出産のタイミングで離職する場合もあるので、その点の留意は必要です。とはいえ、女性の場合は男性ほどの大きな既婚との差はありません。年収による不本意未婚への影響は、今のところ年収中間層以下の男性だけに偏っていると見るべきでしょう。
中間層が結婚できなくなった理由
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