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フォートナイトに「和歌山の観光地」実現の舞台裏 観光資源豊富も交通不便、どう魅力伝えるか

東洋経済オンライン / 2024年3月10日 10時30分

こうした課題解決への取り組みはいまにはじまったことではない。観光振興に向けては、10年以上前から県が主体となって観光事業者とともに動いている。

ただ、その中身は、東京や大阪といった大都市のほか、海外主要都市の観光シンポジウムや旅行コンベンションなどに参加し、旅行代理店などエージェントへの売り込みが中心になっていた。

そうしたなか、和歌山を拠点にバス、タクシーなどの輸送および旅行サービスを展開するユタカ交通の豊田英三社長は「これまではずっとギリギリのところを綱渡りでやってきましたが、従来型のエージェント向きの観光の捉え方を変えないといけない。これからの地域経済や観光振興は国内外の若い世代との接点をどう作っていくかがカギになります。彼らに刺さるものを作らないといけない」と考え、メタバース和歌山を立ち上げた。

ヒントになったのが、漫画やアニメの舞台のほか、テレビドラマや映画のロケ地が“聖地”となり、ファンが訪れる現象だ。バスケットボール漫画『スラムダンク』に出てくる神奈川の江ノ島電鉄鎌倉高校前駅近くの踏切には世界中からファンが殺到し、話題になった。

和歌山でも、コロナ禍にアニメが空前のヒットとなった『鬼滅の刃』の主要登場人物のひとりである甘露寺蜜璃(かんろじみつり)と同じ名前の甘露寺(紀の川市)と甘露寺前駅(わかやま電鉄貴志川線)には、大勢のファンが詰めかけていた。

そうした聖地には、遠くても、交通が不便でも、ファンには訪れるモチベーションがある。それを作り出すことをテーマに、昨年の春から研究と検討を重ねた結果、メタバースの可能性に行き着いた。

自治体がメタバースに街を作り、その仮想空間上から地域の魅力を発信する試みはすでにいくつも行われている(メタバースメディア「メタバース総研」では、メタバースを地方創生に活用する22の自治体の事例を2024年1月15日に取り上げている)。

城など海外に刺さりやすいコンテンツを売りにする

そんななかで、和歌山の取り組みが特徴的なのは、城や忍者など日本固有の海外に刺さりやすいコンテンツを売りにして、まずはゲームという特定のファン層へのアプローチを図っていることだ。そこで認知を得てファン層を作ることを第1ステップとし、その先にメタバースおよびリアルの観光やECへつなげていく。そしてそれは、地域の雇用創出にもつながる。

豊田氏は、和歌山の社会課題を包括的に解決していくことを提唱する。

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