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集合住宅「災害時のトイレトラブル」を避ける対策 気付かず使うと、汚水が上の階から下の階へ

東洋経済オンライン / 2024年3月11日 18時0分

集合住宅や地域で協力したい対応のポイントをまとめました(写真:うぃき/PIXTA)

未曾有の被害をもたらした東日本大震災から12年経ちます。

トイレ環境の大切さを広めるべく奔走する「日本トイレ研究所」の代表理事・加藤篤さんが、“トイレ”の視点から防災のノウハウをやさしく解説した『トイレからはじめる防災ハンドブック』より一部の内容を抜粋、忘れたころにやってくる災害への備え、そして起こった後の対応のポイントについて、3回にわたって掲載します。

第3回では、集合住宅に暮らす方は押さえておきたいポイントをまとめます。

震災時のマンションの汚水問題

■集合住宅のトラブル回避に必須な上下階の連携

【イラストで見る】集合住宅、給水方式の種類は?

住戸から排水される汚水は、排水管を通って建物外に流れていくのですが、基本的にこの排水管は上下階でつながっています。戸建て住宅であれば、汚水を排水するのか、控えるのかを、家族で決めます。

汚水を流すことで排水管が詰まったり漏水したりしても、自ら判断したのであれば、納得がいくと思います。

悩ましいのは集合住宅です。震災や水害による影響で排水設備に損傷があるにもかかわらず、上階から汚水を流してしまうと、汚水マスからあふれたり、地中に漏水したり、下階の住戸に逆流する可能性があります。

過去の震災でも、地中の排水設備が閉塞していることに気づかずに汚水を流したため、1階の便器に汚水が逆流したという事例もありました。逆流の兆候は、便器内の封水から空気がボコボコと出る、封水(洗面台や流しなどの器具と排水管の接合部に溜めてある水)が跳ね出すなどです。

スイッチを入れて電気がつかなければ停電、蛇口をひねって水が出なければ断水というように、これらは容易に確認できますが、排水設備は何かが起きない限り損傷に気づかないという特性があります。

専門的な検査をすればわかりますが、災害時に検査することは現実的ではありません。

災害時など、排水設備の損傷が想定される場合は、居住者による簡易点検の方法を作成するとともに、トラブルの兆候をいち早く察知して、臨機応変に対応することが求められます。そのためには、排水管がつながっている各戸での連携が必要になります。

あなたの住む集合住宅の給水方式は?

■建物の給水タイプで災害時の対応は異なる

災害時、停電や給水装置、配水施設の損傷で断水が発生するケースは少なくありません。

しかし、建物によって断水までの時間に幅が出ることもあります。発災直後から断水になることもあれば、2〜3日後になって断水することもあります。また同じ地域でも、建物によっては断水しない場合もあります。

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