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ニコンで「著名CFO」が新社長に登用される必然 ソニーグループと同様に「社長がCFOを兼任」へ

東洋経済オンライン / 2024年3月11日 7時50分

ニコンは今年2月に開いた社長交代会見で、CFOを務める德成氏(右)が社長に就任することを発表した。現社長の馬立氏(左)は德成氏について「もはや銀行から来られた方とは思っていない」と強調した(撮影:今井康一)

「CFO(最高財務責任者)社長」が製造業の企業でまた誕生する。

【CFO経験を持つ主な社長一覧】メーカー企業での登用が増えている

老舗光学機器メーカーのニコンで、德成旨亮CFO(64)が4月1日付で新社長に就任することになった。馬立稔和社長(68)は代表権のある会長となる。

德成氏は社長就任後もCFOを続け、COO(最高執行責任者)とCRO(リスクマネジメントの最高責任者)も兼ねる予定。これは、昨年4月に副社長兼CFOから社長COO兼CFOになったソニーグループの十時裕樹氏に続く動きといえる。

ニコンの社長は長らく技術系の人物が務めており、文系からの登用は45年ぶりとなる。德成氏が銀行出身であることも話題を集めた。

日本を代表するCFOの1人

実際、2020年4月にニコンに入社するまでは、銀行で長くキャリアを積んだ。1982年に三菱信託銀行(現・三菱UFJ信託銀行)に入行。2015年からは三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、MUFG)でCFOを務めた。

MUFGのCFOだった間、アメリカの金融専門誌『Institutional Investor』が投資家などの投票に基づき発表する「ベストCFO」に4年連続で選ばれた。

著書の『CFO思考』も話題になった。德成氏はMUFG時代にリーマンショックで窮地に陥ったモルガン・スタンレーへの出資を実現するために奔走した。その経験を振り返りながら、冷徹な計算をベースにリスクを取ること、自ら投資家に対ししかるべき説明をすることで企業価値を高めることを説いている。

CFOは単なる金庫番ではなく、財務状況に基づいた投資判断を行い、企業価値の向上に責任を負う。これを自ら実践してみせる德成氏は、日本を代表するCFOといえる。

德成氏や十時氏のような社長兼CFOとまでいかなくても、CFO経験者の社長登用が製造業で増えている。近年の主なCFO経験者の社長は下表のとおり。ソニーグループの歴代2社長、オリンパスの竹内康雄・現会長、NECの森田隆之社長など、さまざまな規模や業態の会社で登用されている。

背景にある「株主ガバナンス」

「日系企業の経営が『銀行ガバナンス』から『株主ガバナンス』へと変化する中で、CFOの重要度が増している」

元エーザイのCFOで、現在は大学などで経営者の育成にも取り組む柳良平氏は、CFOの経験を持つ社長が増えている背景をそう説明する。

過去を振り返ると、企業にとっては銀行を通じた資金調達の重要度が今よりも高かった。銀行から信頼を得るうえでは、多額の現預金や不動産、株式などの資産を持つことが合理的であり、美徳でもあった。

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