コスパ重視、職場で「ファスト・スキル」求める若者 働く若者が抱える「挑戦と保身」のジレンマ
東洋経済オンライン / 2024年3月13日 15時0分
そんな一連の努力を重ねてようやく「わかりました。ありがとうございます」という返答が返ってくる。翌週の退職願いとセットで。
「わかりました」って言ったじゃないか!
というツッコミは通用しない。彼or彼女がわかったのは「会社の考えと自分のそれとは違う」ということなのだ。
かつて若者はこのことを、「配属(異動)ガチャに外れた」と表現してきた(もう誰も言いません)。しかし、経営者や上司にしてみれば、異動や配属には当然、意味がある。決して偶然ではなく、あみだくじで決めているわけではない。
つまり、配属も異動もガチャではない。親ガチャや国籍ガチャ、見た目ガチャとは、本質的に全く異なるものだ。配属や異動には根拠があるのだ。にもかかわらず、若者は「ガチャに外れたんで、会社辞めるわ」となる。
昨今の若者の潮流として、会社や組織のことを、自分からは遠く離れた大きな流れのようなものと見なす傾向が強くなっている(実際には自分とたいして変わらない人たちが働いているだけなのだが)。
そして4つ目は、会社は自分に何をしてくれるか、という考えが、若者の間で強くなっていることだ。今の若者は、会社あるいは経済社会を「固定化された仕組み」と見なす傾向が強い。というより、そういうものを理想としている、と言った方が近いかもしれない。
したがって、スキルや能力向上の機会についても、会社や上司が「仕組み」として用意すべきものであって、それがない(あるいは自ら作らなければならない)会社は理不尽だ、ということになる。
僕はこの背景に、知識やスキル、能力の取得に対する「ファスト化」があると考えている。
「おすすめの資格」を尋ねる若者の真意
大学教員として高校生(あるいは大学1年生くらいまで)と接すると、度々訊かれることがある。
「どんな資格を取っておくといいと思いますか?」(同業者の皆さん、あるあるって感じですよね)。
先日、入学したての大学1年生の前で、企業から内定をもらった大学3、4年生を集めた就職活動に関する座談会を開いたときも、Q&Aタイムで同じ質問が出ていた。
僕の場合、そういう質問を受けたときは、いったん、逆質問をさせてもらうと断ったうえで、「あなたの目標は何ですか? もちろん今の時点で」と訊き直す。
逆質問の形となっているが、これが事実上の僕の答えだ。つまり、「資格の有効性は目標による」。
極めて当たり前のことを伝えているわけだが、素直でまじめな日本の若者は、そうは捉えないらしい。逆質問の答えで最多となるのはこんな感じ。
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